うさぎが繋ぐ恋

※ウサ吉の事など捏造気味につき注意



去年のいつだったか、ひょんな事からうさぎ小屋を発見して

こんなの飼ってたんだ、なんて思って近付いたらうさぎもこっちに寄ってきて
匂いを嗅いでるのかな、鼻をスンスンと鳴らすのが可愛くて
そっと触っても逃げないこの子は人懐っこいなぁと思ったり

それからちょくちょく此処に来ては軽くお世話したり触れ合ったりして癒しを貰っている

キレイな子だから誰かが世話してるのかも、なんて思ってるんだけど1度も誰かと会ったことがない
それでもこんなに可愛いから大切にされるよね〜なんて思ってうさちゃんの頭を撫でれば気持ちよさそうな顔をするから可愛いなって笑みがこぼれる


ボーッと触っていたら後ろに気配を感じで心臓が跳ねる
恐る恐る後ろを振り返ると男の子が

あれ、この人…

「おめさんだったのか。ウサ吉の世話してくれてたの」

「新開くん…?」

そこにいたのはあの自転車競技部の新開隼人くんで腰が抜けそうになる
自分が一生関わる事のない人だと思っていたから
だから話しかけられる事があるなんて思ってもみなかった

「誰かが世話しててくれてるんだろうなって思ってて、気になってたんだが…なかなか会えなかった。礼を言うよ、えっとおめさんは」

「山田、山田アオです!」
「山田さんか。今まで色々とありがとな。正直助かってた」
「ううん、勝手にごめんね!えと、癒し貰ってたんだ」



それから新開くんと話をした
自転車部の人だしもっと近寄り難いと思ってたけど、新開くんはとても気さくな人で
勝手なイメージを作っていた事にちょっと反省

新開くんはぼんやりだけど、うさちゃん改め(勝手にそう呼んでただけなんだけど)ウサ吉のお世話をする事になった経緯を話してくれた

ウサ吉のお世話をするようになって、遠征の時なんかは心配だったけどいつも誰かが世話してくれてたから安心するようになったと
お礼を言いたかったそうなんだけど、いつ行っても会えずじまいだったからずっと気になってたんだって

そしてやっと今日会えたと。そんな話だった

ウサ吉の話は少し切ないけれど、新開くんにぴったりくっついてるウサ吉の顔は何だか幸せそうにしか見えないから、大丈夫だよって言いたかったけど余計なお世話かもしれないから心の中に閉まっておいた

新開くんと見事に会わなかったのは当然の事で、新開くんの朝練含む部活の時間帯に私は見に行ってたし新開くんはそれ以外に来てたみたいだし
それにしても、一年近く会わないのもすごいねと2人で笑いあった

その日を境に会える日が増えた
一緒にウサ吉の世話をして話をして、のんびりとした時間が心地よかった

いつしかお互いの呼び方も「アオ」と「隼人くん」に変わり、連絡先も交換して一緒にウサ吉のエサを買いに行ったり休日も会うようになった
隼人くんは忙しいから無理しなくていいのに、わざわざ時間を作ってくれて

そんな時を過ごしていたら自然と恋心が芽生えてしまうもので
相手が相手だけに戸惑いが隠せなかった

隼人くんと両想いになれる訳がないと思ってたのに「おめさんの事、好きだよ」って彼に言われたのは恋心を自覚してすぐの時だったから青天の霹靂だった

その時私は「嘘だ」とか「どうして」としか言葉が出てこなくて

「一目惚れさ」

って言われてしまったら私は何も言えなくなった
そして付き合ってくれるか?っていう言葉に私は頷く他なかったんだ


それからも毎日一緒にお世話して、私たち三年生は進路問題も出てくる頃で
隼人くんは推薦で大学が決まってて、私はどうしようか悩んでた
特に行きたい所もやりたい事もない自分が情けなくてため息がでる

ただ実家から通える所にしようかな位には思ってはいるんだけど
理由は隼人くんの大学と近いからで

「アオは卒業したらどうするんだ?」
「うーん、とりあえず実家から通える所にしようかなって。隼人くんの大学とも近いし」
「例えさ離れても気持は変わる事はないけど、近いならそっちの方がいいからそうだと嬉しいな」

本当は毎日でも会いたい位なのに

って、抱きしめながら言う隼人くんは反則だ


それから進学先は実家から通える所を選んで

大学でも寮生活になる隼人くんの代わりにウサ吉を引き取る事になって

母にウサ吉をうちに連れて帰りたいと話す時に隼人くんも来てくれて、説明してくれた
案の定、母は隼人くんにメロメロでふたつ返事でウサ吉の事を承諾してくれたからこれで一安心

高校を卒業してから会える頻度は落ちてはしまったけど、相変わらず時間を作ってはウサ吉に会いに来てくれる

「ウサ吉もだけどおめさんにも会いたくて仕方ないから」

っていつも言ってくれる隼人くんが大好きだ

ウサ吉のおかけで隼人くんと出会えて、こうして付き合うことが出来て幸せな日々を過ごせて…ウサ吉には感謝しかない

そっと撫でれば擦り寄ってくるこの子が可愛くて抱き上げて頬をすり寄せる


「早く隼人くんに会いたいね」

そう言えばウサ吉が鼻をスンスン鳴らすから、それが返事みたいで可愛い

ピンポンとインターホンが鳴る

ドアを開けたら私たちの大好きな隼人くんが立っていて私もウサ吉も隼人くんに飛びついたのだった

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