先輩が卒業してしまった

泣いて、泣いて、涙が枯れる程泣いて
インターハイの時より引退の時より泣いた

部活を引退しても学校にはいるし
結構顔出してくれたし、お昼は一緒に食べたりもしたから寂しくなかった

先輩、受験勉強で忙しいのにデートもしてくれた

「まぁ、息抜きも必要って事で…って、バァカ!言わせんな!」
って何でか怒られたけど、照れ隠しなの知ってる

初詣にも行ったし、バレンタインもあげた
なんだろう、本当にあれは思い出作りだった
先輩なりに考えてくれてたんだと思う


先輩は早々に大学近くのアパートに引越してしまったし、遠距離恋愛突入だ

私も、私も先輩を追いかけて静岡の大学を目指そうと思ってるしあわよくば洋南に行きたい
でもまだ2年もある…遠い…

2年の遠距離恋愛は不安でいっぱいで
どんどん先輩が大人になって置いていかれる気がするし、綺麗な女の人に囲まれたらそっちに行っちゃわないか不安で胸が押しつぶされそう

電話も今は毎日ほんの少しの時間でも欠かさない
声を聞くとホッとする

それでも会いたい!と思う時にすぐに会えない距離がもどかしい

電話の後はいつも寂しくて泣いてしまう
慣れるまでの辛抱、そのうち平気になるよ
部活だってまたどんどん忙しくなるんだし

春休みはいつもより少し休みが多い
その時に静岡に行く約束を取り付けたんだ

部活終わってからすぐに電車に飛び乗って、先輩の所に行く
少しでも一緒にいたいと思う私の気持ちを汲んで先輩が提案してくれた

待ちに待ったその日が来て、何度も持ち物の確認をしたしそわそわ落ち着かない

部活の仕事もきっちり終わらせて
でも早く終わらせたくて休憩時間も返上で作業したのは内緒(黒田先輩にはバレてたけど)

電車も早く会いたくて1番早く到着する電車を選んで
普段お小遣いも使う事ないから、これで使うのは自分にとって有意義な気がする

早く会いたい、会いたい、会いたい


駅に着けば、歩いてるのがもどかしくて若干小走り気味になってしまう自分に苦笑い

改札を出る前に見つけた

大好きな人

改札を出たら先輩に抱きついた

人前なのにごめんなさい
後で怒られてもいいから、今はごめんなさい

「バァカ!恥ずかしい事してんじゃねーヨ!」

ってそれでもそのままにしてくれる先輩は優しいね

「会いたかったです」
「まだ数週間だろ、何言ってんだバァカ」
「数週間でも、こんなに会えないと寂しい」
「ハッ!今からそんなンでどうすンダヨ!慣れてかなきゃ仕方ねぇだろ」
「わかってますよ…」

私の態度に先輩はため息をついて、そして手を取って歩き出した

無言で歩く道中
それでも先輩が隣にいることが嬉しくて胸が苦しくて堪らない

「お邪魔します」
「ドーゾォ」

先輩の部屋はなんだろう、まだ物も少なくて
でも部屋中先輩の匂いがする
すごく幸せな空間だ

荷物を置いて、また先輩に抱きついた
今度は先輩も抱き返してくれた

すき、好き、幸せ

我慢できなくて「先輩」って呼べば先輩はじっと私の目を捉えて…
目を閉じたら、先輩がほっぺに手を添えてくれて…
降ってきたキスに私は心がじんわりと温かくなるのと同時に切なくなって、涙が出た

「泣いてんじゃねーよ、バァカ」

そう言いながらも涙を拭ってくれる先輩は優しいね

「荒北先輩、大好き」
「あんがとね」

呆れ声でもいいから、もっと先輩の声が聞きたくて
好きで好きで苦しいよ


少し落ち着いてから、部活の話を聞いてもらったり、先輩の一人暮らしの話を聞いたりとても楽しかった

ご飯は簡単に外食で済ませて、またアパートに戻って

先輩が先にお風呂行って
次は私がお風呂に行くから、着替えの用意をしつつ考えた

今日、一緒に寝るんだよね
あの先輩のベッドで一緒に寝るんだよね?

もしかしたら今日…やっと、先輩とそんな事になるかもしれないよね

この日が決まってから意識していた
だからパジャマも下着も新しいの買いに行った
今日、ダメだったら明日、そんな事思って何枚か新しいの買ったの…
先輩は知ったら笑うかな、呆れるかな


「おい、風呂空いたぞ」
「あ、ありがとうございます!」

ガシガシと髪の毛を拭いて出てきた先輩の破壊力!

おかしいな、部活で散々見てきたのに
二人きりで先輩の部屋で…それだけでこんなに違うものなの?

洗いながらどんどん緊張が増してきた
何も無かったら笑おう
でも、もう私は限界だよ
先輩のモノ≠ノなりたくて仕方ない

お風呂から上がって髪の毛を乾かして

何となく、さっきよりも口数が減ってるのはお互い意識してるのだろうか


「先輩」
「あんま寄んな!くっつくな」
「えっ」
「あー…違う!ハァ…悪ぃ」

今までは何とかなってたケド、今日は抑えられる気ィしねぇわ

って、先輩…なんと言う殺し文句ですか?

「私も、もう限界だよ先輩」
「バァカ!簡単に言ってンじゃねーよ」
「ずっと言ってたもん。簡単な気持ちじゃないの、先輩知ってるでしょ」

感極まってまた涙が出てきた

「お前はホント…ったく!後悔しても知らねぇぞ」
「後悔なんてしないもん。先輩はまだ私は抱くに値しないですか??」

「バァカ!人の話聞いてんのか!?オレは抑えられる気がしねぇつってんダロ!!」
「なら抑えないでよ…先輩、私だってもう無理だよ」
「…止めろって泣いてもやめねーぞ」
「絶対言わない!!」

バァカって言いながら優しくキスをする先輩がわたしは大好きだよ

「オレもこゆの初めてだしわかんねぇけど…大切にする、から」

もう充分、大切にしてくれてるのに

ギュッと抱きしめられた時、服越しに感じた鼓動と体温の熱さが堪らなくて嬉しさと緊張であたまがクラクラした





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