2月に入ってから学校に行く事が少なくなったとは言えオレは受験生…ってヤツだから寮以外で図書室とかでも勉強する

周りを見れば真面目に勉強してる奴が大半だけど、いつもと違う雰囲気…

匂う…匂うぜやたらめったら甘い匂いが

つーかどいつもコイツも!色めき立ってウゼェ
んだよバレンタインだからってアホか


「今年も沢山貰ってしまった。流石オレ!」

ドヤ顔の東堂がウゼェから無視してんのに絡んでくるからめんどくせぇ

「そうか、荒北は今年もゼロか…可哀想に」
「はぁ?ッセ!知るか興味ねーし」
「アオちゃんは生憎合宿だからな!帰ってくるのは今日の夜遅く…残念だったな荒北、今年こそは貰えるはずだったのに」


アオは合宿でいねェ
「何でこの日に合宿なの!バレンタインなのに」って嘆くアオに「別にバレンタインとか興味ねェし気にすんな」ってオレは言った

東堂じゃねーけどクサイ事言うと別に普段からアオには気持ち貰ってッカラァ
今更チョコだなんだって別にいいんだよオレは


「っセ!たかがチョコだろ。別にいらねーし」
「強がるな、荒北。素直になれ!話くらいなら聞いてやるぞ」
「殴られてぇのかオメェは」


もう話すのもめんどくせぇから無視決め込んだけど隣で1人で話す東堂はうるさくてため息を吐く

そうしてたら東堂は女子に呼ばれて行っちまったから静かになった

ったく、チョコ如きで凹むかっての

その日の夜、22時を過ぎた頃アオが合宿から帰ってきたと連絡が来た

「明日、少しでも会えますか?」の文章に「大丈夫」とだけ返す
アオの部活が終わってから部室で会う約束をした


次の日も勉強してから約束の時間に部室に向かう
いつも大体1番最後まで残ってるアオ
今日もすっかり他の奴らは帰ったようで部室にはアオだけだった

「先輩!やっと会えた」
「おかえりィ」
「………!!ただいま、です」

そのまま抱きつかれて、おかえりって言ったのが珍しいと言われた
ンだよ失礼なヤツ
で、いちいち感動してんじゃねーよアホ!

それにしても匂う…この部室
それは、昨日も嗅いだ匂い

「先輩」

アオが部室のテーブルに紙袋を置いて中身を広げだす

「ンだよそれ」
「えと、1日遅れですが…バレンタイン、です」
「ハァ?別にいーつったダロ」
「それでも!渡したかったんだもん。初めてなんです、好きな人にチョコをあげるの」

不覚にも

不覚にも可愛いって思っちまったじゃナァイ!!

「ンだよそれ…バァカ」

結局いつもの事ながら素直に言える訳ねーからァ
悪態つきながら抱きしめて誤魔化す

アオは腕の中にいるしオレの胸に顔を埋めてるから表情は見えねーけど、多分…

「先輩にギューってされるの嬉しい」

すんげぇ笑顔でオレん方見るアオに笑える位…
予想通りの顔してんなよバァカ

「ソウデスカ」

照れくさいのを誤魔化すようにもう一度抱きしめた

「先輩、チョコ貰ってくれますか?」
「別にいいケド」

コイツみたいに素直にウレシイとか言えたら楽なんだろーなとは思うケド柄じゃねーし

それにしても…

「オマエ、どんだけ作ったんだよ」
「へ?」
「種類、多すぎじゃね?」
「へへ、あれもこれもレシピ見たら美味しそうで…つい」
「それにこれいつ作ったんだよ」
「昨日、帰ってきてから作りました」

満面の笑みでアオは言うけどよ
そもそも帰ってきたのも遅かったのにそれから作ったとか寝たの何時だよ

「無理すんなって言ったろアホか」
「無理してませんー!!今日は早く寝るからいいんです1日位寝不足でも」

ここまで来たらオレが何言っても聞かねぇからもう黙る事にした

「これはトリュフで、これは甘くないチョコ、ココアの味のクッキーにこれはカップケーキで、これはガトーショコラ」

いやさすがに…

「作りすぎだろ…」
「浮かれ過ぎですよね」

こんなに貰っても迷惑だったかな、ごめんなさい

そう言って眉を下げて笑うアオ
何とも言えない気持ちになって少し乱暴に頭を撫でる

「迷惑な訳ねーだろ」

作りすぎだとは思うケド
素直に言うと…嬉しくない訳がねェだろ

「ベンキョーしてたら甘いの欲しくなんだよ」

まァこれはホント

「だからァ助かる」
「本当ですか?良かったぁ」


そう言って嬉しそうな顔をするアオを見てオレももっと…上手く言えたらいいんだろうけどやっぱり柄じゃねェ

けど

「あんがとネェ」

オレなりに精一杯の言葉と表情で言えば
アオは半泣きになりながらまたオレに抱きついた

「先輩、好きです。大好き!」
「ん、オレも」

そんでいつもの流れだと…ほらな、当たり

アオが目を閉じるから、オレはそのままアオにキスをした



その日から数日、アオに貰ったチョコを食べてたらやたら東堂に絡まれた

「良かったな!荒北!バレンタイン当日には!貰えなかったが結果的に貰えて!良かったな!」
「ッセ!」
「寂しいバレンタインにならなくて良かったな、貰えたのは次の日だけど」
「ウゼェ…」

まぁでも…バレンタインなんて正直どうでもいいのには変わりねぇ

けど、素直に嬉しかった
それはバレンタインどうこうじゃなくて結局、アイツの気持ちが嬉しいのかもしれねェな

オレん事考えながら、色々作ってくれた
それがきっと1番嬉しいんだと思う


って小っ恥ずかしい!

そんな気持ちをかき消すかのように勉強に集中した



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