万物流転 | ナノ
15.みぎうで2
やぁ。僕はハリー。ホグワーツ魔法魔術学校に通う三年生だよ。今日は、ハグリットが受け持つ『魔法生物飼育学』の最初の授業の日で、僕ら三人は何としてでも彼の授業を成功させたかったんだ。でも、相変わらずのマルフォイがいちいちハグリットの気に触るようなことを言うから、内心はらはらだった。

ハグリットが僕達三人に「今日は素敵な助手がおる」とこっそり教えてくれた。小さな目をぱちり。ウィンクをしながら僕らの前を歩くハグリットに不思議な視線を投げかけていると、放牧場のような場所に着いた。

教科書を開くように全体に指示をして「どうやって?」と反抗的な声でマルフォイが聞くと、ハーマイオニーの持っていた『怪物的な怪物の本』を取り上げ、大きな親指で背表紙を一撫でした。その間、僕らのちょっと後ろに立っていたネビルが説明を聞かずに教科書を開けたらしく、本にローブを齧られてボロボロになっていたことを明記しておこう。

ハグリットが今日の目玉である魔法生物の説明を行っている間、不愉快以外の何ものでもないマルフォイが「ポッター気を付けろ、吸魂鬼が後ろにいるぞ!」と言って僕をからかってきたりしたが、全部無視した。

「ハグリット先生!十頭でよろしいですか!」
「おう、ありがとう。やっぱりお前さんに頼んで、正解やった!」

聞き慣れた声が放牧場の奥から聞こえてきて、パッと顔を向ければ、レイリ先輩が見たこともない奇妙な生物をぞろぞろ従えて歩いてきていた。近くまで来るとうっとりしたハグリットは「美しかろう」と呟いた。

先頭のそれは、顔が銀色の羽毛で覆われ、鋼色のくちばしと前足のかぎ爪は鋭く尖っており殺傷能力がありそうだ。四足歩行でこちらへ歩いてくる怪獣は、馬のような尻尾を持っていたが、前足のすぐ上には大きな翼があって飛べるらしい。

はじめのハグリットの言葉には、美しさを感じる心よりも、差し迫った身の危険を感じる心の方が上回って、ヒッポグリフをそういうものとしては受け入れられなかったが、今の僕には彼の言うことが分かる気がした。個体ごとに半鳥半馬のこの生き物は全身を覆う羽の色が違いきれいだった。

「まんず、こいつらはみな誇り高い。すぐ怒るぞ!
 だから絶対、ヒッポグリフを侮辱してはなんねぇ」

「それ故、あなたたちが腕を吹っ飛ばされたくなければ、ヒッポグリフと接する時は、彼らが先に動くのをきちんと待たなければなりません」

にこりと微笑を浮かべながら、恐ろしいことをすらりと述べる先輩に後ろでこそこそ喋っていたマルフォイ達ですらごくりと息を呑んで、ここにいる三年生全員がハグリットの授業に集中した。彼がヒッポグリフへの挨拶の仕方を説明している時に、先輩は十頭いるヒッポグリフのうち九頭を丈夫そうな柵に繋げて死んだフェレットを与えて彼らの機嫌を取っていた。

20130815
title by MH+
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