万物流転 | ナノ
7.おおぞら
目覚めて一番最初に窓辺へ駆け寄った。晴れ渡った寒い空がガラス越しに見える。ゆさゆさと肩を揺さぶりアンジェリーナを起こして、眠たい目をする彼女にクスリと笑いかけた。

支度を済まして談話室へと下りてくると、そこそこ人がいて今日行われるクィディッチの話で朝なのにも関わらず盛り上がりを見せていた。

「「はよ、レイリ…とアンジー」」

「…おはよう、二人とも」
「私はついでか!」

ぱこーんとアンジェリーナに殴られたフレッドは、目を擦りながら苦笑いをしてジョージが彼女に謝った。ぴょこぴょこと前髪をそれぞれ同じように跳ねさせながら私達の後ろを着いて歩く双子はちょっとばかし危なっかしかった。

大広間へ着くと、いつも通り準備された朝食のいいにおいがして、お腹がぐぅと情けない音を立てる。その音を聞きつけた双子にげらげらと笑われながら席に着くと、私達は朝食を開始した。

「なぁなぁ、レイリー」
「…どうしたのさ、フレッド」

「今日のに勝ったら、何か俺達にご褒美くれよ!」
「…えー、どうして私が、」
「そういわないでさ、何かプレゼントしてよ!」
「…ジョージまで? ちょっとアンジーどう思う?」

正面でもりもりとスクランブルエッグを消費していたアンジェリーナに声をかけると「いつものことでしょ?」となに食わぬ顔で言われて、彼女は再び食事を開始した。その潔さ…感服致します。

アンジェリーナの隣りに座るアリシアに聞いても「いいんじゃない?何か買ってあげれば?」と微笑まれた。…あぁ、そうか。私の周りに座っているのはグリフィンドールの代表選手とその補欠ばっかりではないか!

とするなら、私の左に座るフレッドの正面にいるリー・ジョーダンに聞いても答えは同じってことだよね。私はしみじみと現状を噛みしめながら、ふいに目が合ったリーににっこりと微笑まれてしまって何とも言えない気持ちになった。

20130810
title by MH+
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