▼ 04
「そういえば、、、この子の名前は?」
少女の食事風景に和んでいると、ふと谷崎が中島に聞く。
「な、名前、、、ですか?」
そういえば、、、何も考えていない。突如として現れた目の前の少女に動揺しすぎてそれどころでは無かったし、元々名前があるのか無いのか。もし、仮にあるとしても
、先程からの少女の動向からして話せない可能性が高い。
「おや、敦くん。何も考えていないのかい?」
「は、はい。何せ突然だったし、、、」
「でも、名前は大切ですわ。私達で付けてあげましょうよ」
皆が少女の名前について話していると、マシュマロを完食した少女が立ち上がり、トテトテと国木田のデスクのパソコンに向かう。それに気付いた一同が見守るなか、少女は小さな両手でキーボードを叩き始めた。
「ん?どうし、、、、あ!」
「おやおや、、、、」
画面に表示された言葉は、、、
「ヴィオラ、、、、君、ヴィオラっていうんだね!!」
おそらく、自分が話せない事を自覚しているのだろう。一つの手段として、国木田のパソコンを使い自己紹介したのだ。
「へえ、中々賢いね」
「教えてくれてありがとう!!やっぱり都会って凄い!!」
「改めて宜しくね、ヴィオラ」
中島達に撫でられながら、コクンと頷くとヴィオラは再びウトウトし始めた。
「疲れちゃったのかしら。寝かしてあげましょ?」
「あ、そういえば、この間貰った果物の詰め合わせのバスケットがありますよ!」
「そうだね、、、それに何か敷けばいいね。確かうちにちょうどいいのがあったはず、、、持ってくるよ」
「寝床が出来るまで、敦くん、抱っこしてあげててね!」
「はい!」
、、、彼らはこの時まだ、ヴィオラに隠された秘密をしらない。
それを知ることになる時は、すぐそこまで迫っていた。
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