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虎騒ぎの後、気を失ったままの焔は与謝野の元に預けられた。
太宰が引き取ると言っていたらしいが、女好きな太宰と年頃の女の子が一緒はかなり危険、ということで与謝野が自宅へ連れてきたのだ。
『ん、、、?こ、こは?』
「目が覚めたかい?」
『え、、、?』
頭上から聞こえた声に一気に覚醒し飛び起きる焔が目を向けると、ショートボブの細身の綺麗な女性が立っていた。
『あ、えと、、、?』
「ああ、妾(アタシ)は与謝野、与謝野晶子さ」
『あ、私は、、、』
「纒 焔だね?太宰から聞いてるよ」
『あ、、はい、、(太宰さんの知り合いなんだ)』
焔は目の前の女性を見つめる。大人っぽく艶やかで、不思議な魅力を醸し出す与謝野。太宰や敦、国木田もそうだが、容姿が整っている人が多い。
ぼんやり見つめている焔を不思議に思ったのか、与謝野が声を掛けた。
「大丈夫かい?まだ寝てる?」
『はわっ!?だ、だだだ大丈夫で、、、す、、』
顔を赤くしながらワタワタしている焔に与謝野はクスリと笑う。
「どもりすぎだろ?ま、それだけ元気なら大丈夫だね。、、、さてと」
『?』
与謝野はクローゼットを漁り、シンプルなタートルネックのトップスと黒のパンツを焔に差し出す。一方の焔は状況が掴めず、キョトンとしていたが、着替えろという事を悟ると小さく頷き服を受け取った。
「こんな服しかなくて済まないね。近いうち買い出しに行くから、その時にでも、ね?」
『あ、いえ、、、そんな、、、』
「いいから。妾が好きでやってんだから。さ、そろそろ出るから急いでな」
『あ、はい!!』
焔の返事に満足気に笑いながら与謝野は部屋を出ていく。ぽつんと残された焔はこれからに想いを馳せる。
勿論、色々不安はある。
しかし今は、あの女性、与謝野を頼るしかない。
焔は手に抱えた服をきゅっと抱き締めると、着替える為、制服のリボンを解いた。
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