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「あんな格好いい彼がいて羨ましいなぁ。あたしも彼氏欲しい!」

「すぐ出来ますよ!」

「もう、雪ちゃん可愛すぎ!!」

 顔を赤くして力説すれば、女生徒は勢い良く雪菜に抱きついてくる。少し苦しかったが、あたたかくて安心した。照れくさくて、でもこんな友人がそばにいてくれることが嬉しい。



 HRが終わって直ぐ様、友人に別れを告げて正門を目指す。これから蓮汰と会えると思えば、ドキドキして堪らなかった。早足で階段を降りて玄関を出る。
 もうすぐ彼に会える。心臓が早鐘のように脈打ち、とても鎮まりそうにない。
 下校する生徒たちを追い越すと、正門にもたれかかるようにして立つ少年が視界に入った。

 ここからでもよく分かる。癖のある茶の髪に同色の瞳。繊細な美貌は何度見ても見とれてしまう。彼は楓華学園の制服を纏っていた。
 女性徒たちは通り過ぎた後も、何度も振り返って少年を見ている。
 少年のブラウンの瞳が雪菜を捉えた途端、優しい光を帯びた。とろけるような笑顔に、雪菜は思わず息を呑む。やがて雪菜は、勇気を振り絞って駆け出した。
 幸福(しあわせ)を噛み締めながら、愛しい彼のもとへと。

「蓮ちゃん!」



END