美しき少女達の乱舞
「どうかよろしくお願いします。あなた方だけが頼りなのです。叔父夫婦がわたくしの両親を殺害した証拠を見つけ出して頂けませんか?」
祈るように手を組んでいるのは、見る者に儚い印象を抱かせる一人の女性。艶やかな髪は青み掛かった黒で、瞳は柔らかいブラウン。
薄紫の振袖に花が描かれた赤い帯といい、まるで遊女のようだ。
彼女の名は蕾。葵と桜、レスカが通う《桜花台学園》の理事長を務めていると言うのだ。
蕾の話によると、彼女の両親は先代理事長――つまり、祖父の後継者であったらしい。
しかし、彼らは交通事故に見せかけて、叔父夫婦に殺害されたと言うのである。
蕾も犯人が叔父夫婦だと分かっていたが、決定的な証拠がなかった。いくら彼らが犯人だと分かっていても、どうしようもなかったのだ。
「……お話は分かりました。私たち、よろず屋が責任をもって証拠を探し出します」
琥珀がそう約束した直後だった。蕾が何者かに攫われたのだ。このタイミングならば、犯人は叔父夫婦に違いない。
よろず屋に依頼したことに気づき、危機感を覚えたのだろう。証拠を見つけられてはたまったものではないということか