3
鶴の一声ならぬ、琥珀の一声。ようやく穏やかなティータイムが始まった。
もちろん二人の赤いお菓子は普通のものと取り替えられた。赤いそれが朱雀行きになるのはまた別の話である。
「それで、帰る方法は見つかったか?」
「全く。」
リリアの問にロザリアは降参だとばかりに両手を上げた。
「そうか…。琥珀、北の二人には三日後会わせる。会いたがっていただろう?」
「いいんですか?」
「よかったですね、マスター。」
「ウチも…」
「ロザリアはダメだ。」
「何で!?」
笑い
「貴方、よくあんな我が儘に付き合えるわね。尊敬するわ。」
「恐縮です。」
「誰が我が儘だ。」
戯れ
「リリア、この前借りた本だが…。」
「続きなら、後で運ばせる。」
「ありがとう。」
語り合い。
まるでその光景が当たり前のように続く中、リリアはひっそりと五人を見回し思わず苦笑した。話している間は異世界の人間だと言うことを忘れてしまいそうになる。
「リリアさん。」
「ん?」
「私達の世界に遊びに来た時は案内させてくださいね。」
「……。」
そんな心情を見通したかのような琥珀の言葉に、リリアは目を瞬いた。
「……。」
「ダメですか?」
「……まさか。」
緩やかな笑みを一つ。
「楽しみにしてるよ。」
訪れた安息
(……!)
(れ、レスカ!?)
(紅茶が……っ。)
(紅茶?)
(赤くないから辛くないとは言ってない。)