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約30分後―――…


琥珀とレスカは床の上で背中合わせに座っていた。




「疲れましたね………」


「ああ………。たかが天井の汚れを落とすのに、これほど時間と労力を費やすとは思わなかった」




琥珀とレスカは、お互いに疲れきった顔で天井見上げた。


天井にあったシミも汚れも、2人の頑張りにより綺麗に消えている。




「それにしても………何であんな所にシミが?今まで無かった気がするんですけど」


「さぁな………。とりあえず、落ちたんだからいいだろ」




そう言って、レスカはゆっくり体を倒し、床に横たわった。


背中を合わせていた琥珀も、つられるように横になる。


2人は体を仰向けにすると、綺麗になった天井を見つめた後、顔を見合わせた。




「……………」


「……………」


「………ふふっ」


「………ふっ」




顔を見合わせ、どちらからともなく笑い合う。


滅多に感情を出さないレスカも、今までのことや今の自分達の状況に、おかしさを感じたらしい。




「何か………今になって思うと、私たち変なことしてましたね」


「雑巾を片手に飛び跳ねたり、振り回したり………挙げ句、力尽きてこの様だ」


「人には見せられない姿ですね、今もさっきも」


「まったくだ………。よろず屋の仕事より疲れた」


「私もです。………レスカ、起きれますか?」




琥珀は体を起こすと、立ち上がった。




「今日は依頼も来ないみたいですし、奥でゆっくりまったりしませんか?」


「………そうだな」




琥珀は手を差し伸べ、レスカはその手を取り立ち上がった。




「そうだ。この前、美味しいお菓子手に入れたんです。お茶しながら食べましょう!」




2人は話をしながら店の奥へと消え、


その後を、2人でノンビリと談笑しながら過ごした。






数時間後、よろず屋に姿を現したロザリアが、


昨日モップの柄の先端にインクを付け、天井にシミを作った犯人だと分かり、


レスカとロザリアの大乱闘が始まった。


そんな2人を、琥珀が疲れきった体に鞭打ち止めたのは言うまでもない―――…




(そもそも、何で天井にシミなんか作ったんですか?)


(いや、なんや天井が寂しい思てな。ふと天井見上げて顔でもあったらオモロイやろ?)


(そのくだらない発想のお陰で、私たちの時間と労力は無駄になった)


(何やねん?やんのかコラ)


(本当に………殺ってやろうか?)


(………いい加減にしてください………)










end...