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レジーナの言葉を遮る様にして、身を乗り出してきたのはエレナだ。
ほんわかと、まるで綿菓子のように甘い笑顔を浮かべながら。

一瞬ぽかんとするマナとレジーナであったが、唯一違う反応をする者がいた。
…そう、リネットだ。

「あらあら、お茶だなんて素敵ですわ〜! 私達がお邪魔しても、本当に宜しいんですの?」

「ええ、勿論ですよ。それに、レジーナが淹れてくれるお茶は本当に美味しいんですよ」

「そうなんですの? きゃーっ楽しみですわっ! ねぇ、マナも勿論一緒にお茶しますわよね?」

手を組みながら完全に暴走モードに突入しているらしい。
目をキラキラと輝かせながら、勝手にどんどん話を進めていくばかり。
流石にこの暴走っぷりには、マナもどうにもならないと判断したらしく半ば諦め気味に、

「…へ? あ、あたし? あたしはぁ〜…帰りたいっちゃ帰りたいけど、ちょっとくらいの寄り道ならまぁいっかな〜とか」

「本当ですの? じゃあ決まりですわね!」

待ってましたと言わんばかりに捲し立てて、にこにこと満面の笑みを浮かべるリネット。
エレナもリネットの反応には純粋に嬉しさを感じているらしく、つられるように柔らかな微笑みを零した。

「ふふっ、こんなに喜んで貰えて、提案した甲斐があるってものです。…さ、レジーナも一緒に帰りましょう? …あ、4人でお茶しても大丈夫ですよね?」

今更レジーナの意見を聞きそびれていた…と思い、恐る恐る彼女を見遣りながら問い掛けるエレナ。
すると、クスクスと口元に笑みを零しながら、

「勿論ですよ。ゆっくりお茶をしてのんびりしてから帰っても、遅くはありませんからね」

時の塔に向かう道中、そういえば互いに名前さえ知らなかった事に今更気づいた一同は遅ればせながらの自己紹介を行う。
そして、4人の女性達の賑やかなお茶会は、その後日が暮れるまで延々と繰り広げられたのであった。


END.