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「え、ええ…私達は平気ですけれど…。それより貴方達は一体、どちら様なんですの?」

「私達はこの聖域で暮らしている者です。詳しい話は…そこの魔物を倒してからにしましょう」

いきなり現れた救世主に、目を白黒させながら茫然とするしかないリネット。
しかし、残念ながら一同に呑気にお喋りをしている暇はどうやら無さそうだ。
何故なら、エレナとレジーナの登場にも全く物怖じせず、むしろ敵と認識したようで殺意むき出しの視線をぶつけるばかり。

それからは、形勢は完全に一同に傾いた。
マナが敵陣に突っ込んで行って魔物を殴り飛ばし、リネットは中距離から苦無を放ったり自ら剣を手にして斬りかかり。
そして、レジーナとエレナは後方から2人の援護に回った。

あっという間に魔物達を蹴散らしていき、最後の一匹は戦意を喪失したらしく尻尾を巻いて一目散に逃げて行った。
そんな魔物の背中を見遣りながら、マナが不満そうに溜め息をついた。

「ったく、逃げるくらいなら最初から襲い掛かんなっつーの。あーあ、爪で肌がちょっと切れちゃったじゃない、サイアク〜。傷痕残ったらどうしてくれんのよ」

「ごめんなさい、傷の具合をちょっと見せて貰ってもいいですか? このくらいなら私の治癒魔術で何とかなりそうですね…。少し、じっとしていて下さいね」

「……? え、ちょっと何よ…?」

非難の声を上げるマナであるが、そんな声はエレナの耳には届いていないようだ。
マナの左腕に刻まれた傷口の前に手を翳せば、手のひらから生み出される温かく柔らかな光が傷口を優しく包み込み、あっという間に傷を塞いでしまったのだ。
これには、マナも驚きを隠せない。

「ど、どういう事コレ? 何したの?」

「回復の魔術をかけました。もう傷は完全に治っている筈ですよ。私、治癒の魔術は得意なんです」

鳩が豆鉄砲食らったような顔つきでぽかんとするマナをよそに、にっこりと聖母のような微笑みを浮かべるエレナ。

「へぇ〜、治癒ねぇ…まぁ何にせよ助かったわ、ありがとう」

「私からもお礼を言いますわ。お2人とも、助太刀して下さり本当にありがとうございました」