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ロ「以上が、この度の依頼」

燿「なるほどね。そこにいる始末屋さんと一緒に暴れてこいってことですね」

燿はマダムローズのそばに控えていたフレデリカを見る。

フ「…」

某所。依頼を受けた燿は、依頼主である女性…マダムローズのもとにやってきていた。

-暗殺者フレデリカとともに、とある組織を殲滅する-

それが、依頼。

刹「燿。あなたにぴったりの依頼ですよ」

燿「はー?」

刹「依頼は後程詳しく話すそうですが…条件として、激しく素早い任務についていける者、だそうです」

燿「ふーん…」

刹「とにかくお行きなさい。依頼主様がお待ちですよ」

と、今に至る。

燿はマダムローズを人目見てわかった。

…ただ者、じゃないな。この人。

漂わせている風格が今までの依頼人とは桁違いだ。

ロ「どうかしら?引き受けて頂ける?」

マダムローズは、優雅に微笑みながら問いかけてくる。

燿としては受けてやってもいい。

だが、それよりもまず確かめなくてはならないこともある。

燿「私に依頼をするなら…相応の対価は、覚悟してるってことだよね?マダムローズ」

それを聞いたマダムローズはさらに笑みを深めた。

燿も負けじと口角をあげる。

ロ「…もちろんよ。いかほどがお望みかしら」

燿「いかほどならお出しになれますかね?」

互いに無言で見つめ合う二人。

側にいたフレデリカは、燿をちらりと見た。

マダムローズに、ここまで一歩も引かない良く言えば度胸のある悪く言えば不遜な者は久しぶりだった。

マダムローズの真意など探る方が無駄だ。

側近のエヴァとエデンが少し不安げにしているのが見え、フレデリカは大丈夫だと合図をする。

しばらくの沈黙ののち、不意にマダムローズがくすりと笑った。

ロ「エデン」

名を呼ばれたエデンは、てててっと姿を消し、なにやら盆にのせて戻ってきた。

乗っていたのは…札束が3つ。

帯がついている。

燿もさすがに目を丸くした。

エデンは燿の前に盆を置くと、またマダムローズのそばに戻った。

ロ「…お取りなさい。とても大変な依頼だから、契約金はそれくらいが妥当でしょう」

艶やかな笑みを浮かべながらマダムローズは言った。

一方燿は、情けないことに内心冷や汗をかいていた。

さすがの燿も、まさか前金として三百万を軽く出されるとは思っていなかった。

燿(何者だよ…)

ロ「何度も言うけれど、この依頼はとても危険よ。断ってくれても…」

再三忠告するマダムローズの言葉を、パシッという音が遮った。

見れば、燿が札束に手を乗せている。

契約金に手をつける。

その意味するところは1つだけ。

ロ「…それは、引き受けて頂ける…ということかしら?」

燿「もちろん」

燿はそのまま札束を取り上げて、慣れた手付きで数え始めた。

燿「…100。確かに」

そしてまた次の束。

燿「…100。確かに」

そして最後の束を数え終えると、燿は顔をあげた。

燿「契約金、300万。確かに頂戴しました」

マダムローズはエヴァに空の盆を下げさせながら微笑んだ。

ロ「交渉成立…でいいかしら?」

燿はつり目を細めて笑い返す。

燿「この依頼…全身全霊で務めさせて頂きますよ、マダムローズ」