客人
立っていたのは、焦げ茶の髪をピンで留めた少女に、金髪のつり目の女性。
どちらもエイプリルと同じか少し上くらいの見た目だ。
?「い、依頼を受けた七隊の者です」
少女がペコリと頭を下げる。
人馴れしていないのか、初々しさを感じる。
続いて金髪が自己紹介をした。
燿「私は七隊メンバーの燿。こっちは双葉です」
少し軽そうな雰囲気だ。
リ「わざわざどうもありがとうございます。さあ、中に」
ちらりとメイを見ると、男性でなかったことに少し安堵したらしかった。
…メイの男性嫌いは重症だものね。
リープは人知れず苦笑した。
七隊の二人を椅子に座らせ、お茶を出す。
双「あ、どうぞお構い無く。それで…早速ですがご依頼の旨をお聞きしてもよろしいですか?」
リ「ええ、実は私たちではないの。私たちの仲間に……」(説明)
燿「なるほどー。つまり私たちにはその彼氏の動向の理由と、彼女のメンタルケアを頼みたいわけですね」
メ「動向とかそんな大したことじゃないわ。ただ理由をエイプリルに伝えたいだけ」
双葉は熱心にメモをしていたが、書き終えると顔をあげた。
双「はい。私たちにお任せください。それで…お願いがあるのですが…」
リ「お願い?」
双「いくつか質問したいのです」
メ「なにを聞きたいのかしら?」
双「ジューンさんの様子がおかしくなったのはいつ頃ですか?」
リ「そうね、確か…4、5日前よ」
燿「どんな様子でした?」
リ「ぼんやり、という感じね。ぼんやりと自分の左手の手の甲を見たり…エイプリルと手を繋いだときも、彼女の左手を見たことがあったわね」
燿「お二人が一緒に任務に行った最後の日はいつかわかりますかね?」
メ「それはわかるわ。4日前」
リ「そういえば、その夜からね。ジューンがなにか物思いに耽るようになったのは」
双「それより前に、なにか変わったことはありましたか?」
メ「うーん…」
リ「さすがにそれは…わからないわね…」
燿「なんでもいい、どんな細かいことでもいいのでなにか思い出したことはないですか?」
燿に言われ、メイもリープも記憶を手繰り寄せた。
いつも通り、朝食を作って…掃除…昼食…。
リープの思考は、そこで止まった。
リ「関係あるかはわからないけど…」
七隊の二人がずいっと身を乗り出す。
メイは若干引いている。
リ「あの二人、よく午後のお茶会をやっているのだけど…あの日はそこにマーチとオクトもいたわね。四人もいて楽しそうだったわ」
燿「なにを話してた…とかは…」
リ「途切れ途切れに聞こえただけ。花びらがなんとかとか、薔薇が舞ってどうとか、ドレスがどうとか。あとはなにを拾うとか、円がどうとか」
メ「そういえば、私そのあとエイプリルに会ったわ。いやに赤くなってて熱でもあるのかと聞いたくらいよ」
そのとき、七隊の二人の笑みが大きくなった。
双葉はメモ帳をぱたりと閉じて、燿と何やら、目配せをした。
双「ありがとうございます。おかげで何となくわかりました」
メ「えっ今のでなにかわかったの?」
燿「でもまだ確証がありません。なので、ちょっと時間もらっていいですか?」
リ「時間?」
双「少し調べものをしたくて」
リ「ええ、構わないけれど」
二人はかたりと席を立つ。
双「あ、ごめんなさい。最後にひとつだけ」
燿「お二人が良く行くデートスポット、知りませんか?」