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「それじゃ、さっそく送って貰おうかしら。……たまには見返りを求めない親切に甘えるのも悪くないしね」

 微か、はにかんだように見えたのは光の加減だったのか、はたまたアイディール自身の願望が透けて見えたのか。相手の返答を待たず歩みだしたナタリアは、数歩先に行った所で振り返る。それにようやく我に返ると、急いで隣に並んだ。

 金の貴影と、銀の人影が隣り合って夜道を行く。互いの胸中を知るのはただ、無表情の内に黙する月のみである。







『 moon light 』

(まるでそれは、御伽噺の1ページ)