01話 ・・・



▽哀原視点



「ちょ、嘘」
空き教室に連れて来られたのでおかしいと思っていれば押し倒され拘束されていた。まさか男である自分を襲うとはと思いつつ、抵抗していればがらりと扉が開く。
「うっは、哀原君いますかーっ、いませんかー、そうですかー、強姦ですかー、マジすかー」
そんなふざけたことをいいながら入ってきた遥君。俺は助けてほしくて必死にもがく。すると遥(もう呼び捨てでいいや)は俺の方を見た。

「うっは!合意じゃなさげっ、よし!まってろ!今すぐ鬼の風紀委員長を呼んできてやるぜ!15分くらいでくると思うから!」
それじゃおせえよ!
「てめえ!誰だ!不審者か!」
やっぱ言われてるんじゃないか、不審者って。
「え、まじ?俺ってそんなに不審者?どこが?どのへんが?なにが?ねえねえどこよ?」
「…うぜえ」
呟いた男には同意するがこの行為には賛成できない。

「つーか俺哀原探さないと理事長に殺されちゃう〜いや〜ん、つーわけでお前ガンバ!お前の犠牲は無駄にはする!ちゃお!」
「ちゃお!じゃない!俺が哀原だって!」
「ん?うっそーん、不審者卒業?マジ?マジの介?ネタ古っぎゃはははは」

ぎゃはぎゃはうるさい遥にきれたのか男の一人が遥の元にずかずか近寄っていく。しかし遥はまだ笑ったままだ。
「おいっ、お前ふざけた格好しやがって!」
「え〜そお〜サングラスよくね?」
「ふがふがマスクの中で喋ってんじゃねえよ!聞き取りにきいんだよ!」
がん、と音がしたと思えば遥が殴られ机に衝突した音だった。殴られた遥はそのままずるりと床に倒れたが、しばらくして体が震えだした。
「…っくく、ひーっ、へ、へなちょこパンチングクソワロタぎゃははは…!見るからにつよそうな顔してんのに!うっひゃっひゃっひゃお前顔に似合わず腕力ねえだろうっひっひっひ」
「…なんだこいつ、気色悪い」

全力で同意だがしかし、やはりこの状況は打破できそうにもない。くそ、体さえ拘束されてなかったらこんなやつら…。
そう思っていた矢先ドアが再び開いた。入ってきたのは「風紀」の腕章をつけた身長が大きく整った顔立ちの人物。…バックに後光がさして見える…。
「…またお前らか」
「げっ、風紀副の…甲木(こうぎ)!」
「唯人から連絡があってきてみれば…おい、起きろ馬鹿」
がん、と腹を蹴った風紀副委員長らしき人。おいおい遥と知り合いなんじゃねえのかよと思いつつ見ていれば遥は相変わらず笑っている。
「げほっ、がはっ…ううっ、こんなに殴られて…僕もうお嫁にいけない!甲木ちん貰って!」
「この世にお前とウジ虫しかいなかったら貰ってやる」
…同意見だ。
今日はなんかそう思う事多いなあ…。

「君、大丈夫か」
「いや、全然大丈夫じゃないです」
「よし、今助けてやる。こんなやつらはボコボコに…と思ったが会議に遅刻しそうだ、お前ら、顔は覚えたから逃げられないぞ。大人しく掴まれ」
「おふくろさんもないてるぞ〜すみやかにとうこうしなさい〜ぎゃははははあっはっは〜ごほっ!?」
もう一発遥は腹に蹴りをくらい、それでもなお笑っていた。

「チッ…」
舌打ちをしながら男たちが観念したらしくおれの拘束をといた。
「げはっ…それでお前さん本当に哀原きゅんなの?うはっははは」
「…そうです」
「えええ、キャラかぶりきにして変えた感じ?そーなの?そーなの?ぎゃははは折角同族同士仲良くなろうと思ってたのにあははは」
「あんたと同族だと思われたくねえよ…」
ああ、こいつ本当頭の螺旋ぶっとんでんじゃないか、と思っていた矢先、男たちを他の風紀委員に引き渡した副委員長は遥の頭を拳で殴った。

「いって!ぎゃははいってええ!ひでえ!ひでえよ甲木たん!」
「黙れクズ。さっさとそこのやつを理事長室に連れて行け」
「あっはははは言われなくてもいくっつーのーこの過保護さんめ!いや、なぐんないで、もうさすがに限界げはっ」
もう一発腹に入れた副委員長はすっきりした顔で去って行った。遥はしばらく痛みにもだえていたがやがて笑いだし、立ち上がって言った。
「んじゃあ理事長室行くか、あはは」
他に何か言うことねえのかよ…。


(2/33)
←prev next→


[List]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -