05話 ・・・



「今年の新入生歓迎会は、生徒会長探しになります」

その言葉に、会場にいた新入生から三年生までがざわつく。哀原はきょとんとして理事長を見たが皆は戸惑う様子は見せるもののどういうことだと意味がわかっていない者はいない。

「生徒会長…いねえの?」

ぽつんと漏らすと星谷がひっそりといった。

「今年の生徒会長は理事長の独断で決められたんだ。選挙じゃなくて」
「へー…」

哀原はルール説明をは閉めた三藤の言葉に耳を傾けた。

「一人一枚クイズのプリントを配ります。クイズの答えが生徒会長につながるヒント一個。ヒントの重要度は一つ一つ違うのでクラスでくじびきです。もちろん多数同じヒントが配布されます。複数で同盟を組んで、ヒントを合わせて探すもよし、個人で探すもよし。個人で突き止めた場合賞品は独り占めになります。生徒会長を見つけた場合は担任に申告してください、直、申告の権利は一人につき一度です」

つまり生徒会長を探し、担任にその名前を言えばいいらしい。
哀原は面倒だなあと思いつつ入学式が締めくくられるのをぼんやり眺めていた。


「で、お前はどこいってたわけ」
「あっはっは、怒っちゃや〜ん」
「…はあ」

クラスに戻ると、遥はサングラス、マスクのまま机に座っていた(机に)。クラスメイトは遥を見てぎょっとしたように哀原に近づき遥を指差しながら「え、なにあれ、不審者?」「いやいや、俺と同じ編入生」「あー変人だって噂の―」という会話を数人が繰り返した。遥といえば椅子にすわりなおして、携帯をいじっている、

「あ、そーだ。遥、メアド交換しよう」
「ちょ、哀原!?」
「そんな奴とかかわって大丈夫か?」

訪ねてきたのは先ほどの会話(不審者云々)をかわしたクラスメイトだ。

「え、だって俺たちどう…」
「はい、哀原キュンいますぐ黙れ―黙らんと殺すー、ふひひ」

遥の異常性に気付いたのかクラスメイト達はますます哀原に詰め寄った。

「哀原っ、あんなやつ危ないぞ?」
「そうそう、メアドなんかやめとけ。ストーカーになったらどうすんだよ」
「あいつの顔隠してるけどなんかやばいんじゃね!?」
「…えー」

お前ら何いってんの!あいつは良いやつだ!とは哀原も断言することはできずそのままうーんと唸る。

確かにここで遥を庇うのは簡単だが、生徒会のときのように巻き込んでしまうのは不本意だ。親衛隊なんてものになってしまいそうなクラスメイト達を見て、哀原は少し頭を働かせた。

「お前らもメアド教えてよ。いいだろ?クラス皆と交換したいしさー」

そういうことなら!
と携帯を取り出し始めたクラスメイトを見て、哀原はほっと息をついた。

「遥、さっきの話だけど」
「俺はねー下痢。トイレ行ってた」

うわあ聞きたくなかった、と顔をしかめると遥は哀原の表情を読んだのかそれっきり何も言わなくなった。珍しいなとおもいつつクラスメイト達とアドレス交換をする。
むしろクラスメイト達の方がストーカーになりそうだったので電話番号の交換はしなかった。

「何?こいつ哀原のダチ?」
「あ、隆盛。うん、遥唯人。俺と同じ編入生」
「はは、変な格好してんなー。よろしく、俺星谷隆盛」
「よろしくーきゃはっ☆」

こてんと首をかしげた遥は正直きもかったが、星谷は引いた様子もなく、あははと笑っただけだった。




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