リク・真白&白




「…卒業したら、どうする気だ」
「…働くわ、とりま」

親友の保科白に、今後のことを訊かれたのは、母さんの葬式が終わってすぐだった。父親は放心状態が続いていて、もうどうにもならない気がしていた。

「働く?進学は…」
「できないな。無理だろ、ふっつーに」
金髪で葬式にでるボンクラ息子な俺は今更ながらにもっと母さんと話をすべきだったと後悔していた。

オヤジが最近会社を休みがちなことは息子の俺が一番よく知っている。このままだと、平社員のオヤジは確実にリストラされるだろう。
そうなったら、俺はのんきに高校なんていけるはずがない。

心配そうな目で見下ろしてくる白に、俺はにやっと笑った。

「いーんだよ、俺、勉強とかうぜえし」
「…だが」
「いいんだよ」

幼馴染の白は昔から俺にべったりだった。家に遊びにいったことはないが、遊びにくることや公園で遊ぶことはしばしばあり、学校でもずっとべったりだ。
中学生になって、俺がグレてからも、周囲の態度が変わっても白の態度は変わらなかった。

昔からスキンシップでハグやキスは当たり前だった。異国の血が混ざっているのだから、まぁそんなもんか、とだけ感じてたもんだが、同級生からは「ホモか!」と指をさされる毎日だった。

ヤンキーな俺だったが、意外と遠巻きにでも、受け入れられていたと思う。なんでかわかんねえけど、「おかん体質め」とか言われたこともあった。わかんねー。

「どこで働くかなー、なんか家事の延長みたいなんがいい」
母さんが入院してからは俺がずーっと家事をしていたから、そのあたりは得意だ。

「…お手伝いさん、とかは」
「はっ、どこのたよ〜」
「俺の家…」
「冗談言うなって!」

ばしばし肩をたたいたが、白は相変わらず無表情――と、いうよりは。
ああ。

「…心配してくれてんの」
「…」
黙ったままの白に、肯定だととって、俺は感極まって抱きついた。友情的な何かと――寂しさからだ。最近のオヤジはよそよそしいし、そもそも、この年で甘えられる程おれも、そんなんじゃない。

「っ、くそ…んでだよ」
「…」
「なんで、病気とか、んなの…!」
嗚咽を漏らさないように耐えたが、どうにもならず。俺は白の胸元に頭をおしつけて泣いた。

「…真白」
「…わりぃ、おれ…」
「いや…珍しいな」

珍しい、確かに俺が泣くのは珍しいかもしれない。
頭をなでてくる白の手は暖かく、まるで子供のころ、母さんと父さんにされたときのようだと思った。

親にむかってうざいとか、安易に言うが、こんなことになったら、俺は。

「…ばかだろ、俺」

なんでヤンキーなんてもんに。もっと早く母さんの具合がわるいことに気づいてたらよかったのに。そうしたら。くそが、俺のくそ。くそばか。

「…キス、していいか」
「なんだそれ」

意味わかんねえ、と鼻をすする俺に、白は静かにくちづけた。


(END)


あんまり甘くないかもですが、真白と白の昔の話、です!
真白は意外と、寂しがりだったりするわけです。意外と。デレ率はもんのすごく少ないですが…。

リクエスト下さった方ありがとうございました!


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