リク・女装




はっきり言うと、俺は変態だ。なぜなら、男子校で毎日女装をしているからだ。
しかも、王道学園(親友がそういってたぜ)にありがちな、チワワ系の可愛い男子とかじゃないし、美人でもない。
どっちかというとごつめで、身長は180センチある。顔はよくわかんねえけど、いつも化粧してたりする。

何故しているかというと、楽しいから。そして更に言うと、チワワ系の男子に一度襲われた(いわゆる逆…なんとか、というやつだ)ことがトラウマでもあったからだ。
更に言うと、なんとかランキングに入らないためにやれ、と俺の親友から助言を受けたからだ。よくわからんが。

まぁ、人をおちょくるのが愉しいから続けている。ちなみに今日はワンピース(ミニ)だ。ぶっちゃけキモイ。俺。

「…長野原、これ解け」
「うっす」
あ、俺、長野原大(ながのはらだい)な。
授業中も教師が引き気味に俺をみている。そんな反応が面白い。


「今日もきめえなー、お前」
「うるせえよ」
寮に帰って化粧を落とした俺は、上下スウェットに着替えた。自炊はだから今日はもう外に出ない。

俺の親友(腐男子)はにやにやしながら、俺の来ていた服をつまみあげている。

「つーか、お前が言うように女装なんてしなくても、ランキングになんて入らねえだろうに」
「…お前ってホント…無自覚だよ」
「んだそれ」
「あ、しまったー、卵買ってねえ」
「マジか、今日飯なに?」
「親子丼」
「ゆゆしき事態だな」

棒読みっぽい親友の言葉に、俺は眉間にしわをよせた。
「買ってこいよ」
「えー、俺卵なしでもいいー、つーか、めんどくさい」
「馬鹿野郎、お前、卵のない親子丼なんて、ただの親丼じゃねえか」
「どっちでもいーよ、俺は」

にやにやする親友。
「でも俺、女装もう一回すんの面倒くさいぜ」
「そのまま行けよ」
「なんでだよ」
「だいじょーぶ、ばれないばれない☆」
「…なんかたくらんでるか?」
「でない」

とりあえず俺は、財布代わりのカードキーをひっつかんで歩き出した。上下スウェット?うるせえ、悪かったなださくて。つーか、男物の服制服しかねえんだよ。

ぽてぽて廊下を歩いて、エレベーターのボタンを連打。そのまま待っていると、丁度舌に降りるらしかったそれが止まった。
「よーっと」
乗り込むと、壁側にいた生徒が視界に入る。なんか、すげえ、目を見開いてらっしゃるんですけど…。

「…」
「…」
「…」
「…誰?」
あ、思いだした。こいつ生徒会の会計じゃねえか。

「俺のことは気にするな、卵を買いに行くパシリなんでな」
「えー…てゆうか、君みたいなのが…うっそー、えー、何年生?」
しつこく食い下がる会計。つーか俺みたいなのって何よ、え、俺そんなきもいですか?同じ空間にいたくないわけか?ん?

「…っと」
スーパーのある階に到着だ。なにやら人がたくさんいるが、まぁ、いい。そのままつっきって、スーパーに行こうとしたら、何故か背後から両腕を掴まれた。

「「誰だ(です)?」」

そこには何故か生徒会会長と副会長。なんだこれは。人が多かったのはこのせいか。
「ちょ、かいちょー、ふくかいちょー、その子俺が目つけたのー」
「あ?会計…こいつ誰だ?」
「あー。知らないけど」

きゃーきゃー親衛隊が騒いでいる。なんだなんだ、俺をどうしようって言うんだてめえらは。

「…どけ、俺は卵を買いに行くんだよ」
「てめ、何年だ」
「人生17年目だこのやろー、早くどけよ、腹減ってんだよ、つーか…あっ!てめえ!」
視界の端にビデオカメラ片手の親友をみつけた、腐男子この野郎。

「てめー、面倒じゃなかったのかこのくそ!」
わめいていると、そいつがピースサインをした。
「薔薇的な絵を見に行くのは全くめんどうじゃねえぜ!」
「うるせー!」
会長たちの手からすり抜けて胸倉をつかみに行くと、会計が余計なことを言った。

「え、風紀の久留巳(くるみ)じゃん。ってことは…」

もしかして、と皆が騒ぎだす。

「くそ、卵買いにいくぞ!」
俺は久留巳の手を引っ張って走り出した。なんとか後からついてきたやつは巻いて、良質で親子丼を食った。

そして翌日。

「よぉ、長野原」
「…」
女装しているきもい俺に話しかけてきた会長に、何故か周りのチワワ連中が俺を熱いまなざしで見ている。わけがわからん。
「…なんかようすか」
「これを見ろ」

渡された新聞は一面何故か俺の顔。更に『女装変人長野原の素顔!』と書いてある。おいおい、変人って、その通りだけども…。

「男前受けhshs!!!」
なにやらもだえている久留巳。

なんか面倒なことになりそうだ…。


(END?)

リクエストありがとうございました!
こんな感じでよかったのか…長野原は女装が愉しいというか、人をおちょくるのが愉しい人です。男前、多分抱かれたいランキングで会長と並ぶ位には。

続きは書きたくなったら書くかもしれません。







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