長編 | ナノ




自分を客観的に見て、まず思う事。

地味、根暗、小心者。

取り敢えず、気が弱くてはっきりしなくてクラスの中では空気的存在。


自分でもそれは理解してるし、空気的存在でいられればいいかなって思ってた。

だけど。


『北野 奏。アイツ本っ当キモいわ。はっきりしねぇし、自分の意志がねぇし…マジムカつくんだけど』


自分も一応人間なので、自分の中で『これでいい』と思ってるくせに人にこんな風に言われると傷つく訳で。


かと言って、文句を言えるはずもなく。
今日に限って席に弁当を忘れてきた自分を恨めしく思った。



…早く出て行ってくれないかな。


あの集団が出て行ってくれないと僕も弁当が取れない。

鉢合わせしないよう隠れなくては。



そう思って隠れようとした瞬間。
廊下の窓を通して目が合ってしまった。…さっき僕の事を“キモい”と言ってた奴、クラスの人気者の…日暮 零。
今一番目を合わせてはいけなかった人物。





相手もこっちに気付いたようだったがその視線は冷たく、目には感情が籠もってなかった。全くの無。


視線に耐えきれず、その場から逃げた。
弁当はしょうがない。明日は代わりのものを用意しよう。それより早く逃げなきゃ。あの視線から逃れないと。





そんな視線を向けられたってどうしようもないじゃないか!




そう心から叫んで僕は走った。





[ ← top ]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -