盛る柔道部夫婦

 セックスを覚えたては猿になるとは聞いていたが、まさか自分もそうなるとは思わなかった。いや、深雪相手
ではなかったら、嵐もここまで溺れてはなかったかもしれない。それ以前に自分が恋愛をしているということす
らよく分からないのだ。彼氏彼女だなんて、自分とは無関係だといまだに思ってしまう。
 この凄まじい独占欲と触れたいという気持ちを、恋と呼んでもいいのだろうか。
 嵐は、制御できない感情を持て余していた。

 好きだとキスをしてからは、転げ落ちるようにどんどん関係が深くなってしまった。
 もともとずっと一緒にいたし、言われてみればデートらしきことも沢山していた。だからかもしれないが、普
通の恋愛らしい事はすっ飛ばして、嵐とはえっちなことばかりしているような気がする。
 今日も、カレンから貰ったサービス券でカラオケに行こうと二人で盛り上がったはずなのに。

「―うぁ、あ、あ、あ!」
 ごりごりと陰核を揉まれ続け、そこがもう熱くて痺れて訳が分からない。もうその後ろ側のひだはぐじゅぐじ
ゅで下着も用を成さなくなっている。
 普段来るカラオケではなく、すこし高そうな部屋は角部屋で、部屋と部屋の間隔も広く店員も呼ばなければ近
寄らない場所だった。柔らかで大きなソファに、ふたりきりの部屋。意識してしまうともうだめだった。
 キスをして抱き締められたら、深雪の方に断る気力はなくなってしまう。
 キャミソールワンピースは着たまま、股間に手を突っ込まれパンツをひき下ろされれても、むしろ足を開いて
協力する事しか出来なかった。。
 そうして、どこからか女性にも陰茎があると聞いてきた嵐が深雪のクリトリスを苛め始め、既に三十分以上が
経過している。丁寧に包皮をむいて赤く勃起したそれを指でしごかれつづけ、もう気が狂いそうだ。
「あは、あんっ、あー…」
 何度目かのぐうっとせりあがるような衝撃が襲い、体が勝手に反って痙攣してしまう。犯される快感を知って
いる下腹がきゅんと甘く痺れ、収縮しているのが良くわかった。
「すげぇな」
 自分の指先だけで深雪の快感を操作出来ているが面白く、ねとつく液をからませてぬるぬると秘裂をなぞる。
 それだけで熱い息を吐き出して、切なそうな表情をするのが可愛らしい。

「も、もぉ…、ね?」
 背中から抱き締められ股間を弄られている状態から、深雪はむりやり体を捻り、嵐の頬を両手で包んでちゅっ
とキスをした。
「何だ?」
「あの、ね…」
 興味のほうが勝っているらしく、あまりがっついていない嵐に少しイラついてしまう。ちょっと休憩を取らせ
ようと、腰を上げて対面で嵐の胡坐に座る姿勢になる。
「…っ、あぁ!ちょ、っと、も…!」
 彼の太くて硬い指がちょんと触れるだけで、痛みと快感が体の力を奪う。ぎゅうっと目を瞑って青年の股間を
思い切り押さえつけた。
「いてぇ、みゆ、ちょ、いた!」
「ばかぁ…!あらしくんのばか!」
 下着とハーフパンツの上から陰茎をぎりぎりと握り締めると、いくら嵐でも急所攻めは痛いらしくぶるぶると
震える。太いそれを十分に握り締める事が出来ずにいらついて、深雪は下の方にも手を伸ばす。
「い―…!っ!」
 ぎゅうっと袋の部分を握ると、絶句した嵐がばんばんと背中を叩いてくる。
「痛いでしょ!おんなじ位痛いの!」
「…―っ!ぜってー…、俺の…方がいてえ…―っ!」
 手の力を緩めた後、その独特な手触りが新鮮で、深雪は思わずそこをふにふにともんでしまう。
「はぁ―…、っは―…」
 肩口に顔を埋めて荒い息を吐く嵐にやりすぎたかと少し不安になるが、深雪だってもう何もされなくてもじん
じんする位には突起を弄ばれたのだ。おあいこだと首を振って罪悪感を振り払う。
 ふにふにと陰嚢を弄ぶと、ひくと嵐の筋肉が痙攣する。ようやく落ち着いてきたらしい彼が、仕返しとばかり
に下着をずらして膣へと指を挿れて来る。
「あ、あぁあ、あんっ」
「無茶苦茶…すんなよ」
 何度もクリトリスだけで達した所為でそこは既にどろどろで、人差し指を易々と飲み込んだ。欲しかった刺激
に全身があわ立ち、胸が切なく痛む。我慢できずに張った乳房を自分でもみしだくと、えろい奴、と耳元で囁か
れた。
「あ、あぅ―…!」
 指で開かされた膣に、にゅぶっと嵐の陰茎が挿ってくる感触に全身がそそけだつ。きゅんきゅんと疼いていた
内部が熱くて硬いそれで埋められて、きもちいいというより充足感に体がゆるむ。
 ずるんとブラジャーもキャミソールワンピごと引き下げられて、自分の手の上から強く握られると、それだけ
で深雪は達してしまった。
「あ、あはぁ…、あらしく…ん!も…っとぉ…」
 涎を零して体を摺り寄せてくる彼女のあまりの淫らさに、嵐の脳も焼ききれそうだ。
「エロすぎ…」
「…?ね…、もっと…」
 ちゅっとキスされて、至近距離で汗だくの深雪に見つめられる。黒目がちな瞳や柔らかな頬は情欲に染まりき
り、僅かに開いた桜色の唇から真っ赤な舌がちろりと覗いて、可愛くてエロくて愛しく思えて頭が真っ白になっ
た。
「ひぃ…ぁあぁっ、あはぁ…」
「ん、ぅ―、ふ…ぅ」
 がくがくと揺すぶられるまま、足が揺れる。
 お腹の奥をごりごりされるとその度に意識がちぎれてうめき声を上げてしまう。
「も、もうぅ…」
 いっそ、だ。乱暴なだけならまだよかったのに、彼を受け入れるそこが気持ちよくて熱くて死にそうだ。弾ん
で揺れる胸にキスマークが残るほど口付けられ、大きな手に無造作に揉みしだかれて弾けそうだ。
「くる…くるっ…ぁ!」
「―っは、はぁ、すっげ」
 ぜいぜいと上がる息に、酸素が足りなくなる。ジョギングより水泳より息が切れる事に驚く間もない。
「あ、―…っ!」
 先に限界を迎えたのは深雪の方だった。凄まじい快感から無意識に逃げようとする腰を、嵐が無理に引き下げ
ると、がくがくと震えて声にならない絶叫を上げる。
「ひ…っ、らめ、あらしく、らめぇ…飛んじゃ、や…ぁ」
「ふーっ、ふ、はぁ、は」
 獣のように求めてくる嵐に、無意識に骨盤を開いて深雪も応える。繋がった下半身は解かないまま器用にソフ
ァに押し倒され、抱き締められながらじゅぶじゅぶと犯される。掴むものがなくてさ迷う手をぎゅっと握られて、
そんな些細な事が幸せで胸が苦しくなる。
「あ、ああぁあああっ!」
「ぐ、っ…―、は…ぁ」
 ごつごつと奥を叩かれて体が壊れてしまうんじゃないかと思うのに、激しく擦られる手前側が気持ちよすぎて
きゅんきゅんと嵐を締め付ける。いやらしい水音と、ふるふる揺れる自分の胸と、気持ちがよさそうなでもしっ
かりと深雪を見つめてくれる嵐の視線と、彼の手や息が触れる感触全部が深雪に凄まじい幸福を与えてくれる。
「あ…らしく…、すき…、だいすき…!」
「…―っ!はんそくだ…ろ」
 股間から色んな液をこぼしてくたりとする深雪をまだ一頻り突いて、やっと嵐は白濁をぶちまけた。
「ー…ぅ…ふぅ…、はー…も、ばかぁ…」
「あー…、俺も、好きだ…」
 ぎゅうっと抱き締められて、深雪もそっと腕を厚い胸板に回す。彼のタンクトップの背中は汗でぐちゃぐちゃ
で、クーラー効いてるのに、と少し笑ってしまう。
「もぅ、こんな所で…」
「カラオケは、暫く禁止だな」
 我慢できないのは仕方がない。それなら、なるべく暴走してしまいそうな状況には身を置かない方がいいのだ。
「うん、禁止…ね?」
「―…ああ」
 ほんの少し残念そうなのは自分の都合のいい見間違いだろうか、と嵐は溜息をついた。
 覚えたてだから、もっとシたいと思っているのは、もしかして深雪も同じなのだろうか。
 とろんと幸福そうにソファに埋もれている彼女の姿が目に毒で、目に入らないように強く抱きしめなおした。



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