恋ですか?変ですか?
いつかはしたい、変。
「あーっ!!また間違えた!!」
動いていたシャーペンを止めて、忌々しげにさきほど書いた文字を見つめる。
何故だか私はいつも変と恋を間違えてしまう。
意識をしているうちは間違えないのだが気がつけばこんな風に間違えてしまっている。
まぁそんなに使う文字でもないのでいまのところ支障はないけど、恋人と書くところを変人、と書いてしまうとなんだか自分の女子力を嘆いてしまいたくなる。
「いや、私が悪いんじゃない、きっと恋をしている人は大体変だもの。私が間違えたわけじゃない」
「なかなか詩人みたいなことを言うね」
ブツブツと言い訳を呟いていると、それを拾ってしまった人間が一人
。
「え、いや、えーと」
その聞かれた恥ずかしさに顔に熱が集まって行くのが分かる。
しかも、聞いていた人は中学一有名な幸村君じゃないですか!やだーーー!!
「フフ、なかなか興味深いことをいうね」
うう、全然深いことはいってないよ!私がただ言い訳をしただけなんです!だなんて今更言えない。恥の上塗りって奴だぜ!
「ていうか、どうしたの?幸村君、部活の時間でしょ。」
秘儀!!とりあえず話題を変える!!
普段は私と幸村君はほとんどしゃべらない関係なのに今話しかけられているのは、珍しく幸村君が一人で私も一人だったから…。
つまり今は放課後の教室に2人っきり…ワオ!!なんだこの状況!!
「俺は教室に忘れ物をしてしまってね。…そうしたらさくらさんが面白いこと言ってるから」
わおおおおお!掘り返さないで!!なんだか私が中二病みたいだから!!
でも、きっとこれを押し通すしか私には道がない!!
「幸村君はどう思う?恋愛のこと?」
おっそれっぽいこと言えたか?
「ふふ、俺はね」
グイッと幸村君の顔が近くなる。
幸村君が私との距離を近づけたせいだ。
今や幸村君と私の距離は3センチほど。
「さくらさんが俺のことを考えて変になってくれればいいと思ってるよ」
そういって歪んだ顔で嗤った。
「なーんて」
パッといつの間にかいつものニコニコした幸村君の顔に戻った。
私が茫然としているうちに、幸村君が目当ての物を自分の机から引き出して「じゃぁ、部活だから」
と爽快に出て行ってしまった。
今の…何?
いつもの幸村君と今さっきの幸村君がグルグルと私の頭を回っている。
きっと今私は幸村君に
変、した。
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