長官の浮気尋問


皇毅は戸棚から小匣を一つ取りだし玉蓮の前に差し出す。

「監査の折、退官した医女の私物を預かった。時期的にお前のものだと思うのだがどうだ」

玉蓮は小首を傾げながら小匣をぱかりと開いてみる。中には見事な装飾が施されている簪が入っていた。

しかしそれを見た途端玉蓮は蒼くなり、ぱかん、と蓋を閉じて不自然な瞬きを繰り返す。

「…………どうした、」

いつもより遥かに低い声色で質問が響く。

隠すようにしまわれていた美しい簪は、大切な親の形見の品かと思い持ち帰ってきてやったのだが、どうやら違うようだ。

「こ、こここれは……、なん、………」

「賄賂でも受け取ったか」

「ち、違います!これはある方からご好意で頂いたも………」

其処まで自白して口を開けたままポカンとする。顔面は愈々蒼白になり、易々と点と点が繋がり線となった。

向かい合う皇毅は深く息を吐いて眸を閉じる。
しかし次に開いた時が恐ろしいと玉蓮はゆっくり後退していく。

「詳しく、訊かせて貰おうか」

凍てつく双眸が見開かれると玉蓮の身体がビクリと跳ねる。

先程とは一転、立場が変わってしまった。
悋気まる出しに失笑していたはずが、いざ自分に降り掛かるとドス黒い嫉妬心が抑えられない。

「賄賂ではないのだな」

「それだけは違います!見返りもなにも、求められませんでした……ただ受け取って欲しいと」

「……………」

状況を聞けば聞くほど苛々が増していく。
皇毅のこめかみに青筋が立つのを見た玉蓮は、逆撫でしていると気が付き慌てて押し黙る。

「賄賂でない顛末を全て吐くまで尋問するしかないな。但し、お前は私の妻なので特別に拷問ではなく体罰くらいにしてやる」

「そんな……、私悪いことなんてしておりませんのに……」

半泣きで訴える玉蓮を掴まえて寝台へ運ぶと、頑なに腕を前で合わせている。

柔らかな敷布に優しく身体を寛げてやり、衣の上から撫で上げた。

「素直に白状すれば、そうそう怖い目に遇わずに済むぞ」

「はい……!何でもお話しさせていただきます!」

安堵して返事をする玉蓮に皇毅は眸を細め、優しい手つきのまま弧を描いて膨らむ胸に掌を当て、するりと袂を肩から抜き取る。

「あの、!……あの、皇毅様……何でもお話し致します」

何故脱がされているのと、瞳を泳がせ必死に訴える玉蓮をさらりと無視して下衣も剥ぎ取る。





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