…何故こんなにも愛してしまったんだろうか。




元々お前は尻軽女という噂もすぐに別の男に浮気するなど知っていたんだ。
なので俺はお前に告白されたときはこのお前のデータを崩させようと思いその返事に答えたさ。


「あぁ、俺も前から同じ気持ちだった、付き合おう。」


…ってな。その時俺は見た、あいつの顔の表情を。あいつはバレていない、と思っていたんだろうがその表情はまるで獲物を見つめる獣のような目、これから俺をどうしようか、と言っているような面妖な笑みで俺を見つめてきたな。

俺もそこまで馬鹿ではないからそのぐらいのことには気づいたがきっとあちらも何人の男を落としてきた女だ、俺が好いていないことも何もかもバレているだろうな。


俺は計画を立てた、あいつをどうやったら本気で俺に惚れさせるかという計画を…。

あいつは今まで1週間もあれば大抵の男を落としてきた。そうだな、俺の部活の仲間も何人もアイツの"餌食"になった、が今回は相手が悪かったのだろう。
計画がうまくいかないのだろうな。


俺が目をそらしていると思っている時の顔の歪みようは元が可愛らしくてもとても醜いものだ。
俺はその顔に気づいていないふりをしあいつにこう言うんだ。


「お前はとても可愛らしい、ほかの誰にも渡したくない。」


そうすれば彼女の頬はみるみるうちに鬼灯みたく紅くなり林檎のように膨れ上がったのだ。…彼女の場合は毒林檎かもしれないが。


「私も貴方以外はもう好きにならないから。…大好きだよ?」


そんな一言だが落ちる男はとことん落ちるみたいだ。彼女は元々容所も綺麗で頭もいい。
男というのは頭では理解できていても自分の欲望に逆らえず今ある幸せを続けられればいい、と考える奴が多いらしい。

だが俺は


「そうか…それでもお前はこういってはアレだがお前の過去の行動からして俺から離れていってしまうのではないか、と思ってしまうんだ。…お願いだ、こんな俺のことを嫌わないでくれ。お前を完全に信用できなくてすまない、だが俺はお前のことが好き、なんだ…っ」




そう言って彼女に思い切り抱きつき耳元で"愛している"と何回も囁くんだ。
そうすればアイツの顔は付き合ったはじめのあの醜い顔ではなく可愛らしい彼女の顔に変わっていく。

今日で俺とあいつは付き合って4ヶ月と13日だ、彼女の中では一番長く付き合っているだろうな。周りからも彼女の評価が変わってきた。
それと俺のおかげであいつの"悪い癖"が治った、とな。

俺の仲間にも

「良かった、お前との恋は本物で。」
「参謀まで騙されたら流石の俺も泣いちゃうぜよ。」
「やっぱ柳はすげぇな、あんな女も仕付けれるわけだ。」

と言われてしまい少し有頂天になってしまうかと思ったな。

…俺も人の子だ、褒められるのはとても嬉しい。そして"悪い癖"が治ってきている彼女のことも本当に好きになってきたんだ、このまま永遠に愛し合えればいいな、とか少し恥ずかしいことも考えてしまうようになってきた。
そんなことを考える余裕があるぐらい今の俺は


俺たちは最初は偽りの愛から始まったが、それでも俺は彼女と付き合えて良かったと思っている。今では愛し合っている、と言えるだろう。








愛しているぞ"    "







と思っていた俺は本当に馬鹿だなと、数日経ってから思った。
最初から何から何まで全部"嘘"で出来ていた話だった。
…それは何故かって?そうだな、それはお前たちの想像に任せる。
だが、今でも愛しているんだ、俺は、な。
あいつは今違う"獲物"に夢中らしいからな、その"獲物"もアイツに惚れたらしい。
次は誰がアイツの"獲物"になるのだろうか、そして愛された奴らは彼女を嫌いになれないらしい。むしろ好きになっていく、そうだなこれは呪いなのかもしれない。

はぁ、心の中では嫌いでも体が勝手に動くというか、本当に"何か"に操られているのかもしれないな。…早く元の自分に戻りたい、…いやもうすでに元の自分なんて忘れてしまったが。
















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