中編 | ナノ


立海大付属。テニスの強豪校として全国的に有名だ。男子のほうは。一方、私が所属する女子テニス部は県大会にでることもままならない弱小である。一応、部長を務めてはいるんだけど、あまりよろしくない結果続きに頭が痛い。

そしてもうひとつ、個人的にイライラの原因がある。男子テニス部のレギュラーたちの取り巻き。毎日毎日、黄色い声がうるさい。本当にうるさい。確かに、イケメン揃いで、テニスが上手くて、いうことは無いのだろうけど。はっきり言って私は苦手。きらきらした雰囲気とか、スター気取りの態度とか、話しかけにくいというか、自分とは合わない。
そう、自分の性格上ああいうのはどうしてもダメなのだ。かろうじて話したことがあるのは、同じ部長の幸村くんくらい。話したことがあるっていっても業務連絡だけだけど。それくらい男子テニス部とは関わりなんてないのだ。そんなことを考えていたら、また耳がキーンとなるような、もはや奇声じみた声がが聞こえた。


「あーもー毎日毎日よく飽きないなあ」
「部長顔怖いですよー」
「え、うっそ、ごめん」


あはは、と笑う可愛い後輩たち。私は気を取り直して、黄色いボールを打った。明日はせっかくの日曜日なのに学校自体に立ち入れないためにテニスができない。テニス大好きな私にとってたえがたいこと。何処かでテニスしたくても、唯一同学年のむっちゃんは風邪でダウン中。後輩たちは、誘いにくいし。悶々と考えながら、その日の部活は終わった。

次の日。結局テニスしたくてたまらない私は愛用のチャリにまたがって、ちょっと家から遠いところにある運動公園に来ていた。ここには壁打ちできるスペースがある。


「わ、誰もいない」


珍しいな、とか思いながらラケットとボールを取り出してさっそく壁打ちを始める。もっと強くなりたい。強くなって、県大会に出たい。そういつも思っているのに、結果がついてこない。気持ちは焦るばっかり。そんな気持ちをぶつけるように私は思いっきりボールを打った。ボールは勢いよく壁にぶつかり、私のほうじゃなくて、もっと右側にはね返った。


「もーらいっ」
「え、」


ボールを追った先にいたのは、赤い髪をなびかせた男の子。そのまま彼は綺麗なフォームで球を打った。そして、返ってきた球を華麗にキャッチしたのだった。


「ま、丸井くん」

「ん?」


プクーとガムを膨らませながら、丸井くんはこちらを振り返った。私は我ながら声をかけたことにいささか後悔した。




ボールの先にいたのは
(あれ、あんた...)




120404







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