おいかけっこ | ナノ



自主練後、一番最後に体育館を出たオレは後片付けをして、シャワーを浴びて部室に向かった。
部室に入ったら、陽っちがベンチに座りながら何か書き物をしていた。


「お疲れー涼ちゃん」

「お疲れっスー、何してたんスか?」

「みんなのデータ整理」


ちょっと手元のノートを覗けば、細かく一人一人のデータが書き込まれていた。やっぱり陽っちすごい。これノートには書いてあるけど、全部頭の中に入ってんだから。
オレは感心しつつ、着替えのためにロッカーを開けた。ここで陽っちが出てかないのは、もう常識となっている。それが例えセンパイたちの着替え中だったとしても、彼女はなにも気にしない。オレとしてはもう少し気にしてほしいんだけど。まあ、中学のときからだから言っても直らないとは思う。

着替えが終わってロッカーを閉めた。振り返れば、陽っちはまだノートに向かって難しい顔をしながらペンを走らせていた。オレはベンチに跨るようにして陽っちの隣に座る。
しばらくはノート見たり、ケータイいじったりしてたんだけど、さすがにヒマになってきた。ふと、今日の昼休憩のことを思い出した。


「ね、陽っち、一本引っ張ってみて」


手のひらをパーにして陽っちの前に出した。これはお昼に森山センパイが突然始めた心理テストの中のひとつだ。5本の指の中から一本選んでもらって、その選んだ指で相手が自分のことをどう思ってるかわかるっていう、よくある類のやつ。
陽っちはじっとオレの指を見つめてる。ドキドキしながどの指を選ぶのかを待つ。出来れば中指以外、とか願いつつだから余計にドキドキする。


「んー、やっぱりこれかな」

「っ、マジ?」

「うん。涼ちゃんの指スラッとしてるのに、ここだけちょっとだけ歪んでるとこが好きなんだよね」


陽っちが引っ張った指は、薬指だった。薬指の意味が脳裏をよぎって、オレのテンションは最高潮に高まった。というか、心なしか頬が少し熱い気がする。


「で、なにこれ?心理テスト?」

「え、な、なんでもないっスよ!単なる暇つぶしっス」

「本当にぃ?」

「本当っス!それより、ほら学校閉まる時間だから帰るっスよ!」


まだ疑う陽っちを無理やり連れて、オレたちは部室を出た。きっと帰り道でしつこく聞かれると思うけど、絶対に言ってやんない。つーか、恥ずかしいくて言えない。らしくないと思うけど、仕方ないでしょ。





暴いた深層心理
(薬指の意味は、結婚してもいいと思える人)



130625
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Twitterで見つけた心理テストから引用。
森山さん、これで女子と触れ合えるとか、女子ってこういう心理テスト好きなんでしょ、とか思ってたらいい。ちなみに、他の結果も載せときます。
親指:頼れる相談相手
人差し指:仕事や学校でのいいパートナー
中指:単なる友達
薬指:結婚してもいいと思える人
小指:理想の恋人

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