情事後、気だるい身体で起きた。
時計をみれば時間が少したっていた。寝てたんだな、とだんだんはっきりしてきた視界に見えたのは自分と同じく何も着ていない仁王の姿。あっちも疲れたのか、すやすやと寝ていた。
整って綺麗な寝顔にそっと触れてみたが、そのせいで仁王が起きてしまった。
「おはよーさん」
「ん、」
起きるやいなや唇を奪われる。満足するまでキスをした仁王は上半身だけを起こし、ケータイを手にとった。
(あ、嬉しそうな顔…)
ケータイの画面を見ながら嬉しそうな仁王を見て少し胸がズキズキした。
(仁王には好きな人がいて、私は友だち)
枕に顔を押し付け、言い聞かせる。そうしないといろんなものがこぼれ落ちそうになる。
(仁王が好きってバレちゃダメ)
(この関係が終わるから)
心を掴めない仁王だから、身体だけの関係に甘んじた自分。
「姫、こっち見んしゃい」
そう言われたら素直に仁王を見てしまう。
(今だけは、私だけを見て)
仁王の首に腕を巻きつけ、少し強引にキスをする。
「珍しいのぅ」
「たまには、いいでしょ?」
(だって、)
あなたの中に私はいない
(あなたの好きな人は私の知らないあの子)
081202