「ラビ、好き!」

「オレも好きさ!」


そう愛を囁きあったのはいつだったかな。あの頃とわたしの気持ちは何も変わってない。
だけど、ラビはきっと変わってしまった。
わたしと一緒にいても考え事ばっかりして、アレンやリナリーたちと一緒にいるほうが楽しそうに笑うようになった。わたしと一緒にいる時間よりも多くなったと思う。それでも、わたしは何も言わないで強い女の子のふりをし続けた。
けど、なんだろうこの状況は。


「ラビさんっ、好きなんです!」


たまたま通りすがったわたしはその言葉に思わず足を止める。声のする方を見ると探索部隊の中でも可愛いと評判の子が顔を赤くしてラビに告白していた。今いる場所からはラビの背中と探索部隊の子しか見えない。
そして、ラビがなにか言っているけど聞こえず、信じられない光景に変わってしまう。


「……ラ、ビ」


ラビと探索部隊の子のキスシーン。
耐えきれなくなって泣きながら走り出した。
どこをどう走ってるかは全然わからないけど、とりあえずあの場から逃げ出したかった。息が苦しくなるまで走って、人気のない廊下に座りこんだ。


「…う…っ…」


あの時どうしたらよかった?二人の間に割り込んで、ラビはわたしのだって言えばよかった?……無理、強い女の子のふりしてたら逆に弱い臆病な子になってしまったみたい。


「……姫」

「っ!?」


後ろから聞こえたのは大好きなラビの声だった。


「泣いてんの?」


コツコツと足音が近づいてくる。ゴシゴシと涙を拭いて立ち上がり、うつ向き加減で振り返る。


「姫?」

「ラビ、」


震えてしまいそうになるのを必死に堪える。


「……ねぇ、ラビ」

「なに?」


とびきりの笑顔を作って顔をあげた。ラビの初めて見る驚きと困惑が混ざった表情。けど、これが最後。


「別れよっか、ラビ」

「っ!?」

「ばいばい」



そして、わたしはせっかく作った笑顔がまた涙で歪みそうになって、ラビの顔を見ないでまた走りだした。





さよなら兎さん
(さよならを言われたくなくて、先にさよならした)

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