退屈で退屈でしょうがない3時間目。ちなみに科目は英語。
まったくなんで日本語じゃない外来語を勉強しなくちゃいけないんだって毎回思うけど、教育なんだから仕方ない。
白髪まじりの教師は無駄に発音良く理解できない英文を読んでいる。真面目に授業を受ける気もしないので、隣の席の赤也に話しかけようとちらっと横を向くと最近やけに真面目に英語の授業を受けている姿が目に入った。
前に理由を聞いたら、自慢のテニスで青学の英語ペラペラの1年だかに負けたのが相当悔しかったみたいだ。だからって律儀に英語を勉強し始めたコイツは素直というか、バカ正直というか‥

とりあえず赤也に話しかけても相手にしてくれなさそうなので、目の前にある電子辞書に手を伸ばした。辞書に適当な英語を打っては消しての作業を何度か繰り返した。


「ん?おぉー」


一人で呟いてバカみたいだったけど、この発見はちょっと笑えた。顔がにやけていたかもしれないけど、今度はちゃんと赤也のほうを向いた。


「赤也、辞書かして!」


周辺にしか聞こえないボリュームで赤也を呼び、右手を出す。


「お前、持ってんじゃん」

「いーから!」


不思議そうな顔をして自分の電子辞書を渡す。受け取るとすぐにさっき見つけた単語を赤也の辞書に打つ。


「はい!」


辞書を閉じ赤也に返す。赤也はそれを受け取って辞書を開くと、わずかに肩が震え始めた。


「姫、お前なぁ‥」

「ね、それ凄くないっ?」


軽く怒気をはらんだ声の赤也を笑いながら流し、自分の発見を自慢する。


shock‥名U形《略式》(頭髪の)もじゃもじゃ(の)


「赤也にぴったんこでしょ?」

してやったり、いたずらが成功した子どもみたいに笑う。


「お前の辞書貸せ」


半ば奪い取るようにして辞書をとり、何かを手早く打つと、そそくさと辞書を返してきた。
開くと広辞苑でまったく関係のないと思われる単語を先頭にしてズラリと単語が並べてあった。なんだこれは、そう思って見出し語検索の欄を見てぎょっとした。


“姫がすき”


単語に意味はなく、この文がメインだったのかと思って赤也を見た。するとほんのり顔を赤くして、さっき自分がした顔と同じいたずらが成功した子どもような表情だった。



「お前のその顔shockだな」


ニタニタとした笑いでそう言った赤也に何も言えなかった。


shock‥名 衝撃的な出来事
  動・他 ぎょっとさせる


一般的にはこっちなんだよね。





SHOCK
(てか、これ冗談でしょ?)
(ううん、マジ)
(じゃあ、口で言ってよ)
(…姫好きだ)
(…あたしもです)




081017

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