応接室でいつも通りに雲雀さんと仕事をこなす。初めてのころは緊張やらドキドキやらでテンパってたけど(仮にも好きな人と二人きり)、雲雀さんの冷たい視線が痛くて冷静さを取り戻せた。
にしても、今日の書類はやたらと多い気がするのは気のせいじゃないみたい。だけど、雲雀さんは何にも言わないで着々と仕事を進めるから、何か言えるはずがない。やっとのことで終わった時には外は真っ暗で時計を見たら7時を回っていた。雲雀さんは途中で部屋を出ていったっけ、荷物はあるし仕方ないから電気と暖房はつけたままにしていこう。コートを着て鞄を持ったら、部屋を出ようと扉に手をかける前に勝手に開いた。無論、自動ドアなんかじゃない。
「仕事終わったの?」
目の前には学ランを羽織り、肩にヒバードを連れる風紀委員長様。
「あ、はい。雲雀さんは?」
「僕もちょうど見回り済んだとこ」
雲雀さんは中に入って暖房を消して、帰る支度を手早く済ませた。
「雲雀さんも帰るんですか?」
「姫は帰るんでしょ?」
「え、あ、はい」
雲雀さんは部屋の電気も消して部屋を出て、スタスタと歩いて行った。と思ったらクルッと振り返った。
「何してるの。帰るよ」
「うぇ!!?あ、待ってくださいっ!」
雲雀さんの後を追い、そのまま校舎を出た。
「うわっ、寒っ!」
吹き抜ける風に思わず身震いした。あれ、雲雀さんが今笑った気が、
「ほら、」
急に握られたために声を出す暇もない。握られた手はあったかい。それ以上に私の顔は真っ赤な気がする。
「あ、の…雲雀さん」
「こんなことするの姫だけだからね」
もう、あなたに完全にノックアウトです。
高鳴る心音が煩い
(雲雀さん家の方向反対じゃ…)
(送っていってあげるよ)
(…そろそろ心臓爆発しちゃいそう…)
090125
title:Aコース