「神田さん、神田さん」
「…んだよ」
「えっと、これ次の任務の資料です」
資料を差し出すと無言で受け取り、さっさと行ってしまいました。やっぱり、冷たいです。あぁ、片想いって辛いです。
「姫!」
「あ、ラビ!どうしました?」
「いや、姫がいたから来ただけさ。仕事中?」
「はい。さっき神田さんに資料渡したので最後でしたけど」
「あー、どうだった?」
「いつもと変わらないですよ」
ラビは良き相談相手で、科学班に所属している私の数少ないお友達。
「全く…あ、噂のユウだ」
「え、あ…かっこいー」
「おいおい、幸せそうなオーラだすなって」
「わっ、ラビ!髪の毛ぐしゃぐしゃになりますってば!」
人の頭をぐしゃぐしゃにして楽しそうにして…!って、あれ?神田さんこっちに向かって来てる気が?
「あ、ユウどうしたんさ?」
「てめぇ…」
なんか一触即発な雰囲気…?
って、神田さんが突然こっち見ました。
「えっ!?」
急に神田さんに手首捕まれて、進みだして…って、えぇ!?何、何、どういうこと!?テンパったときはラビに助けを…「頑張って♪」
「え、ラビー!?」
ひらひら手振って見送ってる!あ、神田さんがスピードアップして小走りじゃないと追い付けません!
「あ、あの!神田さっ!」
呼んでみたら急に止まってしまいました。振り返った神田さんは目を合わせないようにしてるのか、視線が泳いでました。
「あの、神田さん?」
「……嫌だ」
「え、あの、何がでしょう…?私なにか失礼なことをしましちゃいましたか?」
「……っくそ兎とじゃれて、アイツが呼び捨てされてんのを見てんのが嫌だったんだよっ!」
もしかして、それって、つまり…
「やき、もち?」
「っ!」
その一言で顔が赤くなりました。えっ、うそ図星…?神田さんはまた振り返って、表情が見えない。
「悪ぃか」
ボソッて呟いた神田さんは耳まで真っ赤でした。 あぁ、こんな反応されたら、好きみたいじゃないですか。
自惚れてもいいですか
(両想いのくせに二人とも不器用すぎさー)
(え、ラビ!?)
(ちっ、くそ兎!)
090126
title:Aコース