「あっ…!」
勢いよく起きあがった。嫌な汗が吹き出していて、息も少し上がっている。原因はさっき見た夢。すごく怖かった。今も少し震えている自分がいる。まだはっきりしない頭で電話をかけた。呼び出し音がやけに長く感じられる。早くでて、と強く電話を握った。
「ん、はい…?」
「あ、カカシ?」
「姫?どうかしたの?こんな時間に電話なんて…」
その時、初めて時計を確認すればまだ夜中の3時を回ったばかりだった。
「ご、ごめんなさいっ!」
「あーいいよ。で、どうした?」
眠そうな声を聞けば申し訳なさでいっぱいになる。だけど、まだ声を聞いていたかった。
「ごめんなさい、用事なんかない…ただ…」
「ただ?」
笑われるだろうな、だけど話したい。カカシの声を聞いて安心して、繋がってたい。
「怖い夢見たの‥」
「へぇ、どんな?」
思ったのと違う反応。あぁ、やっぱりカカシは優しい。
「カカシが目の前でいなくなるの。何回も何回もその繰り返し‥」
「怖かった?」
「うん。すごく、すごく怖かった…今も不安で、」
「そっか、なら姫を一人ぼっちにはできないな」
「え…?」
「もうすぐ着くから」
思わぬ言葉に混乱する。
カカシが来る?
どこに?
私の家?
いつ?
今!?
「ちょ、カカシ!?」
「着いたら何してほしい?俺はとりあえず抱きしめてチューしたいほしいなぁ」
「えっと…カカシさん?」
呼んでるのに自分の話して聞きやしない。いや、私が電話したのが始まりなんだけど。
「あとは、一緒に寝よっか」
電話よりも先に直に声が届いた。
「カカシ…」
本当に来た。本物のカカシを見てなんだか安心とか嬉しさとかごちゃごちゃで動けない。
「はい、姫チュー」
ベットに腰かけたカカシは、私に優しい優しいキスをした。
「大丈夫、俺は姫おいていなくなんないから」
ぽんぽんと頭を撫でられると、抱きしめられて布団に横になった。
「ゆっくり寝れそー」
「うん、」
カカシを抱きかえして目を閉じた。
「ありがとう、カカシ」
電話で繋がる夜
(お前に怖い思いはさせたくないから)
(このままずっと抱きしめて眠ってたい)
090106