「こんにちわー!」
いつも暇な万屋に明るい声が響いた。
「はいはーい、新聞ならいりませんよー」
ガラッと気だるい感じに扉を開けた銀時に抱きつく訪問者の少女。
「ぎぃーん!!」
「うぉ!?姫!!?」
「久しぶりー♪」
姫と呼ばれた少女は銀時から抱きついて離れる気配がない。新八や神楽からの熱い視線に堪えかねた銀時は無理矢理引き剥がし、急いで万屋から連れだした。
「たく、いきなりすぎんぞぉー」
「うん!びっくりさせたくて!」
「あんなぁ…と、多串君だ」
歩いていた先に見慣れた黒い服の瞳孔開ききった鬼の副長と出くわした。
「あぁ?多串って誰だよコノヤロー」
さっそく銀時と絡み始め、ぎゃあぎゃあとくだらない言い合いになる。それを隣でみていた姫は土方を見るやいなや、銀時の裾を引っ張った。
「銀!この人誰!?」
「あー?なに、なにしたの?」
「私、この人のこと好きになった!恋しましたっ!」
満面の笑みで言い放った言葉に銀時と土方は度肝を抜かれる。
「「はァァァア!!?」」
晴天の空の下
姫は恋をした。
恋は突然
(私、姫です!あなたのお名前は!?)(ひ、土方じゅ…)(だめェェエ!!!銀さん許しませんからァア!!)(銀には関係ないでしょー!!)
081212