流れ星
流れ星が おちました
地面へ 脇目もふらず おちていきました
かつての姫が守り抜いた空に
まるで一筋の涙が流れたようで
少年は思わず手をのばしていました
花園には少年しかいませんでした
真っ黒な空の下では
色鮮やかな花たちが咲き乱れています
少年が この国の主となって幾年
誰よりも憎んでいたはずのこの国を
誰よりも愛しく想うようになっていました
もしかしたら魔法にでもかけられたのかもしれない
そう思う時もありました
この国は永遠の夜に包まれていました
それは平穏を意味するはずでした
しかしこの国はずっと不安定で
いつ訪れるやもしれない朝に怯えていました
かつての姫たちはどのような想いだったのだろう
少年はふと 瞳を閉じました
風がふいて 長い髪がゆったりと流れます
自分も 守り抜こう この国を
空を見上げると星たちが
いつまでも輝いておりました
暗闇のなか 輝き続けておりました