何度目かのはじまり | ナノ

 何度目かのはじまり


 流れ星が おちました
 地面へ 脇目もふらず おちていきました
 小さな命が弾ける瞬間を
 王子は一人 見守っていました

 永遠の夜に包まれた空はどこまでも真っ黒で
 手をかざせばその指先から
 吸い込まれそうな気がしました

 「彼の子はどれだけの願いを背負って逝ったのだろうね」

 誰もいない高台で
 王子は一人 呟きました


 真っ赤なマントは生ぬるい風に揺れておりました

 散ったばかりの流れ星を想いながら
 まだ幼さの残る顔つきの少年は
 頭上の王冠にそっと触れます

 「きっと これが最後だ」

 目を閉じ
 どこか祈るように手を組んで 言いました


 「今度こそ 僕らの願いが 叶いますように」


 そして小さく息を吐くと
 穏やかに笑いました

 先程まで携えていた
 幼さやあどけなさを
 全て振り落としたように



 とこしえの夜に覆われた空はどこまでも真っ暗でした

 星たちはまるで玩具のように
 いつまでも輝いておりました

 
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