「っ…俺の……俺の何が悪いって言うんだあぁっ!!」 「うーん、簡単に言えば古典の時間寝てたから、じゃないかな?」 遊戯さんはオレのテストを見ながら苦笑いをこぼす。傍らにいたユベルもこればっかりはため息を附いた。 『…これは普通に赤点取るより悔しいね。でもまあ十代にしてはよく頑張ったほうじゃないか』 ユベルが慰めてくれたのはすごくありがたいけど、本当にユベルの言う通りオレはテスト史上一番悔しい思いをしていた。 オレのテストは、39点だった。 「甚だしい」を「甚しい」と書いていなければ、赤点が回避できていた。他にもだ。復習してたはずの文法はことごとく外れてるし、あんなに翔と三沢に教えてもらった現代語訳も全然だった。点数間違いや採点ミスのチェックもした、けど、このギリギリの決闘にオレは敗れてしまった…… 「あーもう、こればっかは悔しいぜ!!」 『…これを教訓に次頑張ればいいさ。それとも、十代を苦しめるヤツなんて、僕が……』 「それは駄目!! でもユベルちゃんの言う通りだよ。赤点の事実はどう足掻こうが覆らないし、ポジティブに行こうぜー」 「ちなみに遊戯さんは…」 「全部回避したよ!!」 嬉しそうに笑う遊戯さんにたいした反応も返せずにオレは項垂れた。決闘の約束も旅行の計画も全てがパァ、か……遊戯さんは今年も決闘大会に出たり、杏子さんとデートしたり夏休みをエンジョイするんだろうなあ…いいなぁ… 『遊戯…無意識のうちに十代を虐めるのはやめてくれないかい?』 「え、ボクそんなつもりで言ったんじゃないのに! ごめんね十代くん」 「はは、いいんだ遊戯さん。遊戯さんは夏休み楽しく過ごしてくれよ!」 遊戯さんはちょっと困ったかのように眉をハの字にしていた。ちょっと威嚇するみたいに柔く遊戯さんを睨み付けるユベルをよしよしとなだめ、他のテストを眺めた。他は勉強の甲斐あってか何とか赤点は回避できている。 「はぁ……」 それでも夏休みが半分も削られるのは、ちょっと来るものがある。 あーあ、オレの青春グッバイ! |