短く | ナノ




::何も知らない知ってる子(ペロオディ)

*中途半端会話文


「アナタはどうして、道化の道を選んだのかしら」
「ん? あー、道化ってピエロのことか。そうだなあ…ピエロっていうか、自分が何やれるのか試したかったのもあるしー、昔から運動神経もあったしー、それに俺を見て笑ってくれる笑顔が好きっていうか」
「あら、笑われるコトは楽しいの?」
「うんそう、多分大体がそれだな、俺の演技や歌が笑われることが楽しいんだよ」
「クスクス、ワタシにはわからないわ。ワタシは人に笑われるのは大嫌いだし、そんな人は大嫌い」
「はは、オディちゃんは綺麗な演技を人に見せるのが好きだからな。俺は何にせよ、人は笑っていてほしいんだ。矮小な俺がいっちょまえに人前で演じる喜劇を、身の程知らずと嘲る笑みでもさ」
「クスクス。可笑しいわ、変だわ、アナタは違うわ」
「はは、オディちゃんが言うならそーかもね」
「どうしてアナタは目を見せないのかしら。だって目は誤魔化せないから、目は笑ってないからよ」
「……うっそマジー?」
「クスクス、アタシも嘘は大好きよ。アナタは笑わすのは好きだけど、笑われることは大嫌い」
「…何でわかっちゃうかなあー……
 気の立ったおっさんとかさ、チャラチャラした若造が…言うんだよ、「落ちろ」「転べ」「刺され」「死んじまえ」って。それはもしかして俺を囃した鼓舞かもしれない、けど俺には馬鹿にした野次にしか聞こえなくてさ。低能で、馬鹿で、矮小な俺を、冷えた氷で押さえつけてるような」
「そんな人、落として転ばして刺して死ぬまで追い込めばいいじゃない」
「あっさり言うねー…そんなのできないよ、客だし、人様に手を出すのは…」
「アナタだって人サマでしょ? どうして? 何故アナタだけは彼らと違うの?」
「…や、それは」
「アナタは道化だけど、まずは人間でしょ」





2011/09/19




←back