小説 | ナノ


名前を順番に呼ばれ、それぞれ思い思いに解答用紙を受け取る。
点が良かった者は喜び、悪かった者はガックリと肩を落とす。
平均点が良かったこともあり、心なしか先生の声も弾んだように聞こえる。

「ユズピ、どうだった?」
「んー、ふつう」

背中をつつきながら聞いた。
ふつうって何点くらいだ?と一瞬思ったが、表情から見てそんなに悪くはないようだ。

「もう次だ。今度赤点とったらかーちゃんに殺される!」
「藤野、先生呼んでるぞ」

慌てて立ち上がる。
勢いよすぎて膝を盛大に打ちつけたが今はそれどころではない。
痛みに悶えながら、そそくさと教壇に向かった。

「で、どうよ?」
「ま、まあまあだな!やっぱ選択問題があると助かるぜ!」
「あれってだいたいカンでいけるしな」

2人で笑いながら話してると隣から、石田はどうだった?と須藤の声が聞こえてきた。

「ギリギリ赤点」
「ギリギリってなによ〜」

授業中なこともあり、控えめに爆笑する。
さすが石田。負の余裕(本人談)で落ち込んでる様子はない。

授業が終わり、休憩時間に入るとジョキジョキと石田はさっきのテスト用紙を切りはじめた。

「な、なにしてんの石田?」
「もったいないからメモ用紙にでも使おうと思って」
「マジかよ」

隣でユズヒコが身を乗り出して驚いている。

「ん、だってこの解答用紙、メモ帳に使えそうじゃない?捨てるのもあれだし」

テストが終わればただの紙切れだと言う石田に藤野は心底羨ましそうに見る。

「はぁ〜。オレも石田くらい度胸があれば……」

ちらっとハサミと用紙を見る。
もちろん、そんなことをしたら親に怒られるどころではないのでやらないが。
改めて石田は大物だな、と一同は思ったのだった。


(あとがき)

お題の台詞を入れたら藤ユズ要素まったく無い話になりました。
そして短い。


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