小説 | ナノ


「あのアイドルが好きだって聞いたから、確かめに行ってただけだ!」
「えっ!?」

驚いたのは藤野1人だけ。
なぜなら、ここにいる全員には、だいたい予想がついていたからである。

興奮状態のユズヒコには、自分が爆弾発言していることに気づいてない。
ただの友達や親友なら、アイドルが好きだと言われても、わざわざ違う組まで何回も確かめに行かない。
ここまでくるとさすがの藤野も気づいた。

「ユズピ……、もしかして」
「なんだよ……」
「やきもち妬いてんの?」
「そ、そんなわけないだろ!」

2人して真っ赤になりながら、あーだこーだと唸っている。
もう、見ているこっちが恥ずかしい。

「オレも実は小山田に妬いてたの……かも」
「な、なんでだよ……」
「最近アイツのとこばっかり行くし。ユズピ取られたみたいで……」

周りに人がいても、お構い無しに2人は話を続ける。
というか、むしろ見えてない。

「……藤野」
「オレ……、ユズピのこと、す、好き……かも?」

(――ついに言ったーーーー!でも“かも?”はいらんだろ藤野!)

クラス全員の気持ちが綺麗に一致した。

「その……お、オレも、好き、だ」

教室の、しかもクラスメートが見てる前で、カップルが誕生した瞬間である。
ほっと一息の3人の後ろから、ヒョッコリと痴話喧嘩の原因である、小山田が顔を出した。

「なになに?やっとくっついたのアイツら」
「小山田も知ってたのか」
「あんだけ分かりやすかったらなー、さすがの俺でも気づくって。……で、石田に協力頼まれたってわけ」
「じゃあ今までのこと全部作戦かよ!俺聞いてねー!」
「そこまで言ってないからな」

途中、どうなることかと思ったが、なんとか作戦は成功に終わったようだ。
次の日には、いつもの雰囲気が戻るかと思いきや、意識しすぎて逆に落ち着かない2人に、クラスメート達がハラハラしたのは、また別の話。


おまけ

「……石田、あのさ前にユズピに告白してたけど……」
「ああ、あれか。2人があんまりにもじれったかったから一肌脱いだ」
「てことは……」
「ユズピのことは好きだけど、恋愛としての好きとかじゃないから安心して」
「そ、そーなのか。――ってまさかその頃から……?」
「その前からバレバレなのだ。ちなみにクラス公認だそうだ、良かったな」
「え!!うそっ!?」
「あ、そろそろ帰らなきゃ。じゃあまた明日」
「あ!石田って、行っちゃった……。てかクラス公認ってことは……ユズピには言わないほうがいいかも……」
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