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ユズピ、どこ行ったんだろ?
約束はしてないけど、一応待っとくか……。
皆が教室から出ていくのを眺めてたら、スドーちゃんが駆け寄ってくるのが見えた。

「あ、藤野くん。小山田くんが呼んでたよ!」
「え?」
「体育館裏まで来てほしいって」
「へ!?なんで!?」

いつもなら向こうから来るのに、どうしたんだ?
それに、体育館裏って……。
でもスドーちゃんが嘘つくわけないしな〜。

「そういえば石田は?」
「なにか用事があるみたい」

珍しく、いつも一緒の石田がいない。
スドーちゃんがちょっと困った顔をする。

「そーなんだ。じゃあ行ってくる!」

この時、まさかあんな場面に出くわすとは、微塵も思ってなかった。

体育館裏は当然、人気がないはずなのに、話し声が聞こえる。
小山田か?
でも話し声は2人分する。
一体だれだろ。

「ユズピ?……と石田?」

予想外のメンツにビックリして、上手く言葉が出ない。
ユズピが振り向いて、同じくらい驚いてた。
オレがなにしてんだ?って聞いたら、告白してたと返されて、正直どうすればいいのか分からない。

「でも、ユズピは藤野がいいって」

ん?今なんて言った?オレがいいって、言ったよな、言ったのは石田だけど。
普通に嬉しい。
後ろでユズピが、焦ったように訴えてるが、オレは胸の奥のムズムズが気になってしょうがなかった。
そのうちに、ユズピが走り去って、石田と2人っきりになってしまった。

「藤野は、どう?」
「どうって?」
「あたしがユズピに告白したのどう思った?」
「うーん、なんとなく……変な気分、かなぁ……?」
「なるほど。まあ今はそれでいいか」

ぼそっと呟いて、満足気に頷いて帰っていった。
まさか、石田がユズピに告白するとは。
オレは小山田のことをすっかり忘れて、そのことを延々考えていた。
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