小説 | ナノ


ある時、ふと気づいてしまった。
それはあの2人が、親友以上に仲良しだってことに。
もう一つ、石田はそれを私よりも、ずっと前から知っていたみたい。

今思い返してみると、時々じっと観察する素振りをしていた気がする。
それはさておき、石田の席で綺麗になっていく消しゴムを見ながら、私はつい、ポロっと呟いていた。

「あの2人ってさ……」
「うん」

手を止めてチラッと私を見る。

「気づいてるのかな?」
「確実に気づいてないな」

それだけでなにが言いたいのか分かったのか、石田は淡々と答えてくれた。
私たちがこんな話をしているとも知らず、あの2人はいつもみたいにじゃれあっていた。

「でも周りは気づいてるのだ」
「そうなの?」
「うん。特にナスオは、あたしより早く気づいてた」

また消しゴムを擦る作業に戻る。
これだけ周りに気づかれてるのに、本人たちが知らないなんて……。
ある意味、凄い。
妙に感心してしまった。

「皆2人のこと受け入れてるんだね」
「スドーは嫌?」
「うーん、嫌っていうより最初はビックリしたかな。石田は?」
「あたしはあんまり気にしない」

もし付き合ったとしても、今と変わんない気がする、と相変わらず淡々と答える。
やっぱり石田は凄いな。
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