かみさま、特別をください 目に見える、特別が欲しい。 手に触れる、特別が欲しい。 見て、触れて、これは特別なんだと誰にでも知らしめることができるような。 自分の、自分だけの特別なんだと示せるような、そんな何かが欲しい。 人よりずっと、くるくるくるくるよく回るこの頭でもってしても作れないその証。 「特別が欲しいんだ」 鷹斗の一言に、理一郎と撫子はぽかんと顔を見合わせた。 タイミングぴったり、流石は幼なじみだなあなんてじりじり焼ける胸の痛みに知らんぷりしてやりながら鷹斗は考える。 二人の間に流れる空気とか雰囲気とか目に見えないそんなものあんなものこんなもの。 みんなみんな羨ましいとこういう時には強く強くそう思う。 実際に言ったら多分両者とも「そんなことない」なんて答えてくれるに違いない。 同じようなむっとした顔をして。 「……鷹斗?」 訝しげな顔をして理一郎が鷹斗を呼ぶ。 「どうしたの、鷹斗」 訝しげな顔をして撫子は鷹斗を見る。 「……………特別が、欲しいんだ」 君たちの間に確かに存在しているその特別を、目に見えないのに確かに存在しているその特別を、触れられないのに確かに存在しているその特別を、どうかどうか俺にも与えてくれないか。 「?」 ああ、同じ顔して俺を見ないで。 見せつけないで、わかってるから。 とてもよくわかっているから。 泣きたいような、叫びたいような、嘆きたいような、そんな気持ちで。 鷹斗は笑う。 笑う。 (「………お前が何を考えてるのかはわからない。わからないけど、オレたちはただの幼なじみだ。それだけなんだ。もうそれ以上はどうにもならない、どうにもできない、何も変わらない。なあ、お前が何を考えてるのかはわからないけど、本当にわからないけど、オレはお前が羨ましいよ。どこにでもいれて何にでもなれるお前がとても羨ましいよ。鷹斗」理一郎がらしくなく要領を得ないような言葉を羅列して、笑う。) (笑う。) 110130 title/群青三メートル手前 |