オトメゴコロ的に、処刑。

―――暑い。
カーテンの隙間から、差し込む太陽光線の威力は凄まじい。
肌に触れるシーツもタオルケットもまるで殺人兵器のようだ。
だらだら流れる汗も、じっとりと暑い空気も、何もかにも嫌になってごろりと寝返りをうつと、アキラの寝顔のどアップ。

「おーおー、よく寝てらー」

すうすうと寝息を立てるアキラの顔をじっと見てからその頬を突っつく。
肉の無い体してんなとはよく思うけれど、有るとこにはちゃんと有るんだな。
胸はささやかだけど。
あ、なんか眉寄せてんな。読まれた?

「んー……………」

何か唸ってんな、いや暑いのはわかるけどな。
嫌そうに体にかかるタオルケットを払いのけて、ころんと寝返りを一つ。
おいおい、お前今の自分の格好わかってんのか?
昨日何ヤったか覚えてっか?

「サービス良すぎじゃね?」

白い肌を惜しげもなくさらして、無防備な姿でオレの目の前に。
これ、ちょいマズくね? やる気のメーター振り切れそうなんですけど。
若いって言ったって限度とかあんだろ、オレだって大人にならねぇといけないし?
なるたけその肌に触れないように、払いのけられたタオルケットをかけてやる。
これだけでレベルアップできそうなくらいの苦行じゃね?
色々ヤベぇよ、お前今夜覚えとけよ。

「うぅ………ひじり、くん……?」

オレの邪な何かに反応したのか、うっすらと目を開けたアキラがむくりと起き上がる。
折角かけてやったタオルケットが台無しだ、どうしてくれんだあの苦行。

「……アキラ」
「んぅ?」
「ねぇよな、お前」
「?」
「胸」
「? ………!!」

はっと自分の格好に気付いたアキラが、タオルケットを頭からかぶってベッドの端まで下がる。

「お前さ、暑くね? それ」
「………ふく」
「は?」
「わたしの、服!」

タオルケットから真っ赤な顔だけをのぞかせて、アキラが叫ぶ。
求める服は、ベッドの下。
拾い上げてひらひらと揺らすと、のそのそとタオルケットお化けがオレににじり寄って来た。

「返して」

白くて細いアキラの腕がオレに向かってのばされる。

「服、着たいんだってば」

本当に細い腕だよな、簡単に折れそうな位。
そういえば、アレ本当の話だったな。

「なあ、アキラ。知ってっか?」
「? 何?」
「二の腕と胸の柔らかさって同じなんだと」
「へ?」

無防備にのばされた腕を引っ掴んでアキラの体を引き寄せる。

「ちょ……!」
「おー、肉ねぇなー……」
「何す……やめ……ひぅっ……!」
「あー同じ同じ」
「ヒジリくんの、バカぁぁぁぁぁっ!」





その日、ぺったりと紅葉をほっぺにはっつけたヒジリを見たISメンバーが乱闘騒ぎを起こしたのは、また別のお話。

Virgin/乙女
title/ユグドラシル
100807
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