ホグワーツの歴史
ハロウィーンの秘密の部屋事件以来ホグワーツはざわめいていた。
そういえば、去年のハロウィーンはトロールが入ってきたり、11年前は……いや、これはよそう。
とにかくハロウィーンはろくなことがない気がする。

壁に書かれた文字、"秘密の部屋は開かれたり"。
今はこの話題で持ちきりだ。
図書館ではホグワーツの歴史が借り出されっぱなしだという。
僕は昔に読んだことがあるから、別にいいんだけどね。

でも、参ったことにあのハロウィーンの事件でその場にスリザリンの僕がいたせいで、皆に継承者は僕ではないのか、と初めはそんな噂が回った。
だけど、ドラコが「ラザレスはこんなことはしない」と言ってくれたおかげで疑いは晴れたらしい。
……正直に言うと、血筋的には継承者で間違いがないわけではないが。



* * *



「先生、聞いても構いませんか?秘密の部屋のこと」


動物をゴブレットに変える変身術の授業。
そんな中ハーマイオニーが、話題の秘密の部屋についてマクゴナガルに質問した。
授業に関係のないことを聞くなんて彼女にしては珍しいことだ。
マクゴナガルは少し驚いた様だが、二つ返事で秘密の部屋のことについて話しだしたのだった。


「皆さんもご存じの通り、ホグワーツは1000年以上も前に、当時の最も偉大な魔法使いと魔女たちによって創設されました」


―ゴドリック・グリフィンドール
ヘルガ・ハッフルパフ
ロウェナ・レイブンクロー
サラザール・スリザリン―


「この4人の創設者の内、3人は意見も合い協調していましたが、1人は違いました」

「誰だかわかるな」


ロンがぼやいた。
だが、言わなくとも誰もが同じ人物を想像しているだろう。


「サラザール・スリザリンはホグワーツに入る生徒をより選別すべきだと考えたのです。魔法教育は純粋に魔法族の家系にのみ与えるべきだと。つまり純血の者ですね。でも3人が反対したことで彼は学校を去りました」


少し間が空く。


「伝説ではスリザリンはこの城の何処かに隠された部屋を作ったと言われています。それが"秘密の部屋"なんです。スリザリンは学校を去る前に、その部屋を封印し、学校に彼の継承者が現れるまで開かないようにしました。その継承者だけが、"秘密の部屋"の封印を解き、その中にある恐怖を解き放ち、それを操る。魔法を学ぶには相応しくない者――スリザリンが認めない者を追放すると言われています」

「マグル出身者を?」

「当然、学校側として何度も調査をしたのです。……そのような部屋は見つかりませんでした」


僕は存在を知って、場所もどこかわかっていたけど、1度もあの部屋を開けたことはない。
今年は確か、あの人の分霊箱が行動する。
ルシウスがジニーの鍋にこっそりと入れていたあの日記帳が。
あの日記帳はなんとかしてでも僕が持っておくべきなんだろうか。


「……あの、先生。その部屋にはどんな恐怖があると言われているんですか?」

「伝説では秘密の部屋の中にはスリザリンの継承者のみが操ることのできる、恐ろしい怪物が棲むと言われています」


何にしろ、秘密の部屋には行かなくてはいけないかもしれない。

2014.2/18
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