ハルの背骨はきれいだ。それはまっすぐで、浮き出ていて、すうっと体の真ん中に美しいラインを描いている。だから僕はバックが好きなのかもしれないな、けれどハルの浮き出た腰骨も好きだから、それとこすれる正常位も座位もすきだ。
「骨フェチです」
バスタブの中でもハルの背骨をなでまわす僕に、彼女がからかった口調でそう言った。フェチといわれれば聞こえが悪い、僕はきみの背骨がすきなだけなのだ。
「ハルのだからすき」
背中をなでていた右手を胸に移動させ、左手を彼女の腰骨に下ろした。ハルは浅く息を吐きながら僕に体を預ける。ハルのだからすきだし、それはすなわちハルがすきでたまらないということで、すきだからすぐに手が出てしまう。けれど生理のとき以外、一度もハルはセックスを拒んだことがない。
「いれていい?」
「もうですか?早くないですか?」
「なんか早くいれたい」
「今日はずいぶん甘えたさんですね」
ハルがほんの少し腰を浮かせる。僕はすでにスタンバイ状態だったペニスを彼女の膣に埋めた。触ってもいないのにしっとりと濡れていたそこはバスタブのお湯よりも熱くて苦しくて、けれどその息苦しさは僕の背筋をぞくぞくと駆け上がり、脳へ達すると同時に快感となるのだ。
「あ、あ」
ちゃぷちゃぷと跳ねる水音が気になって、なかなか腰の動きを早めることができない。ずくずくとゆっくり動いているけれど、焦らされているのは自分のように感じる。
「今日、僕、早いかも」
「いいですよ、気にしないで」
ハルは小さく震えながら、僕が腰を動かすたびに息を吐いて声を上げた。こんなに密着していては彼女の背骨が拝めないからと、べろりと舌でその浮き出た背骨をなめ上げる。ああ、やはり僕は彼女の背骨が、他のどの部分よりもすきだと思った。