体が痛くてどうしようもない。内臓を刺されるような痛みが走ってわたしは顔をしかめる。下を向いて彼とわたしの股の間に目をやると、文字通りわたしのからだにツナのからだの一部が刺さっていた。ペニスという名前の臓器。そんなにガンガン遠慮なくやられたら、そりゃあ痛いに決まっている。
「痛い、いた、い」
「うん」
 コンクリートの壁をベッドにして、立ったまま、わたしはツナとセックスしていた。ツナが体を揺するたびにわたしの後頭部が壁に当たってごつごついっている。端から見たならばどんなにまぬけな光景だろう。わたしはセックスをしながら、セックスにおける意味を考えていた。女は器である。
「なに、考え事?全然濡れてない」
 はだけたブラウスをめくって、ツナはわたしの首筋にかぶりついた。ぎりぎりと噛みつかれて気が遠くなる。濡れるはずない、だって気持ちよくない、早く終わらないかしらと思っている、いつもの自分のからだとなにか違う気がする。
「ツナ、これが終わったら、食事にいきましょう」
「でも終わんないよ。おまえが感じないんなら俺だってイケない。中断って手はあるけどね」
 からかうようにツナが笑う。
「ツナ、どうして今日は激しくするの。痛いわ」
「ごめん。シチュエーションに興奮してたからかなあ」
 わたしは顔を上げて、ツナのからだの向こう側に視線を移した。崩れかけたコンクリートの壁だ。わたしが背中を預けているのと同じ、冷たくて堅いコンクリートの壁には、ほんの数日前までドアがあったはずだ。今はそれらしいものなど見当たらなくて、窓すらも、この部屋にはない。
「部屋の外……、どうなってるのかな。誰も探しにこないところを見ると、ボンゴレは壊滅したんだろうね。みんな死んだんだろうね。そう考えるとさ、俺たちとても愚かなことをしてると思わない?アジトを襲撃されたのにボスは女の子連れてシェルターに逃げて、セックスしてる。仲間が必死に戦ってるときにだよ」
「大丈夫。これが終わったら、食事にいきましょう」
 ツナはまた腰を動かし始めた。早くこれが終わるといい。そうしたら、先週買ったばかりの赤いワンピースを着て、贔屓にしているレストランにいこう。ツナの胸には赤いばらを挿してあげよう。落とし忘れたばらのとげが、ツナの指を傷つけでもしたらうれしい。


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