※ひゆちゃんリクエストありがとう!


潮江くんの頭は思ったよりも軽かった。私の膝に乗せられた潮江くんは相変わらず濃い隈を蓄えている。私はその目が閉じられていることに、少し違和感を覚えた。頭から首へ、胴体へと繋がっている潮江くんの身体は綺麗に花畑の中に埋もれている。私は一人淋しいような、でも嬉しいような、よく分からない気持ちになった。花の甘い香りが私たちを蹂躙する。ぱきぱきと真下から音がしたと思えば、すとん、と私の目線が一段下がった。振動する。潮江くんがゆっくりと、ゆっくりと、重そうに目を上げた。潮江くんは小さく何かを呟いたけれど、何故か私にはそれが聞き取れなかった。潮江くんの胸元には私の耳が落ちていた。ぱくぱくと口を開閉させて、潮江くんは取れた私の耳を胸元で握り締める。耳は容易くぼろぼろと形を崩した。私は潮江くん、と涙と一緒に呟いた。彼は、珍しく、綺麗に笑った。多分、ぱきぱきと音が鳴っている。握られた潮江くんの手が花の上に転がる。所々に散らばった私のふくらはぎの破片が、きらきらと金星に反射している。それに目を奪われていると、いつの間にか瞼を閉じた潮江くんが私の名前を呼んだ。気がした。音は無かった。私は、なあにと返答した。潮江くんはぱきぱきと崩れていった。きらきらと綺麗に砂になって、私の手のひらで潮江くんは微笑している。そのまま私の手も砂になって、きらきらと煌めいて、私たちは仲良く世界に還る。
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