※死ねた
※残念で賞







「ああ、どうせなら、戦友じゃあなくて、恋仲とか、夫婦とか、そんな関係が、良かったなあ」



乾燥した空気の中、仰向けに倒れた少年が、ぽつりと呟きました。少年の腹部には一本の刀が刺さっていました。溢れる流血を気にもせずに、彼はただただ空を眺めていました。雲一つ無い、空でした。少年が少し顔を傾けると、目線の先には、同じく空を見上げたまま倒れている少女がいました。目を閉じ微動だにしないその姿は、まるで眠っているかのようでした。少女の口端からは血が流れていました。彼女は死んでいました。少年は、それを、知っていました。一番に、知っていました。



少年は目線を真っ直ぐ少女に向け、好きだったのになあ、と呟きました。誰も聞いては、いませんでした。



鮮血が少年の萌黄色の服に染み込んでいきます。一つ、少年は咳き込みました。口元を押さえた手の平には血がついていました。少年は、自分がもう死ぬことを知っていました。二番目に、知っていました。



少年は最後に笑いました。





「ああ、そういえば戦友じゃあなくて敵同士だったんだっけ。俺達」






10.12.09
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