いつか終わりが来るのかな?




※未プレイ






「ちょっと聞いてるの!?」


両手を腰に当て、やや前のめりになったルビアがカイウスに人差し指を突きつけた。


「いきなり何だよ」

「あたしの話、聞いてた?」

「ああ、勿論だって!!」

「……嘘」


本当に嘘だったから、カイウスは上手く返せなかった。

唇を尖らせたルビアは、いつものことだからそれ以上何も言わない。

手にしたタオルで、乱暴に棚を磨いた。

小さな舌打ちが聞こえ、ホウキで掃く音が聞こえてくる。

その音を聞くと、ルビアは力を緩めた。

二人は村の空き家を掃除していた。

村長に頼まれた仕事だった。

近いうちに、ここに住むことになる家族。

彼らを迎え入れる準備をすることになったのだ。

何となく拒絶を表した二人だったが、村長には勝てず嫌々といった空気を惜し気もなく振り撒いていた。

どんな理由であれ、引き受けた以上はやり遂げるしかない。

文句のつけようもないくらい完璧な仕事を見せてやろうと意気込んだのは、3時間ほど前だろうか。

集中力もそう長くはもたない。

始めた頃よりも、作業スピードも内容も落ちていた。


「なあ、ルビア」

「何よ」

「勝負しようぜ」

「はあ? 勝負?」


いきなり何を言い出したのか。

ルビアは自分が思っていたより不機嫌な不満げな声を出してしまった。

カイウスの表情が悪い方へ変わる。


「勝負って何?」

「どっちが早く丁寧に掃除を終わらせるか」

「……あたしに喧嘩売ってるの?」


けれど、勝負という名のゲーム感覚ですれば、少しは変化するかもしれない。

ルビアは彼の話に乗ることにした。


およそ1時間。

苦手なわりにがんばった方だと自画自賛する。


「なっ、いい作戦だっただろ」


背後から覗くように笑みを浮かべたカイウスが、顔を見せた。

普段なら気にしない距離も、ホコリで汚れた今ならば意識してしまう。


「ルビア」

「……何よ」


やけに静かで、やけにうるさい。

カイウスのくせに。

とルビアは自身の感情を誤魔化すように吐き捨てた。


「何怒ってんだよ」

「別に怒ってなんかないわよ」

「……はいはい」


呆れたとでも言いたげなそれに、ルビアは唇を噛む。

まるで、子ども扱いされているようだったから。


「早く大人になりたいな」


独り言のように言われた言葉が、鈍器のようにルビアの頭を叩いた。





いつか終わりが来るのかな?





title thanks『瞑目』



2011/06/01


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